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  1. 長野県議会 2022-12-07
    令和 4年11月定例会本会議-12月07日-03号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年11月定例会本会議-12月07日-03号令和 4年11月定例会本会議 令和4年12月7日(水曜日)  出席議員(54名)   1 番 望月義寿    27 番 寺沢功希   2 番 小林君男    28 番 両角友成   3 番 小林あや    29 番 清水純子   4 番 原 健児    30 番 小池久長   5 番 清水正康    32 番 酒井 茂   6 番 加藤康治    33 番 堀内孝人   7 番 川上信彦    34 番 石和 大   8 番 山田英喜    35 番 依田明善   9 番 大井岳夫    36 番 小島康晴   10 番 花岡賢一    37 番 小林東一郎   11 番 池田 清    38 番 毛利栄子   12 番 熊谷元尋    39 番 和田明子   13 番 百瀬智之    40 番 諏訪光昭   14 番 山口典久    41 番 山岸喜昭   15 番 小山仁志    42 番 丸山栄一   16 番 丸茂岳人    43 番 小池 清   17 番 竹内正美    44 番 宮本衡司
      18 番 竹花美幸    45 番 清沢英男   19 番 宮下克彦    46 番 鈴木 清   20 番 大畑俊隆    47 番 高村京子   21 番 共田武史    48 番 宮澤敏文   22 番 髙島陽子    49 番 西沢正隆   23 番 荒井武志    50 番 風間辰一   24 番 埋橋茂人    51 番 佐々木祥二   25 番 続木幹夫    52 番 向山公人   26 番 中川博司    55 番 萩原 清   56 番 服部宏昭    57 番 望月雄内  欠席議員(3名)   31 番 丸山大輔    54 番 本郷一彦   53 番 平野成基         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一    林務部長      吉沢 正   副知事       関昇一郎    建設部長      田中 衛   産業政策監     伊藤一紀    建設部リニア整                     備推進局長    斎藤政一郎   企画振興部長    清水裕之    公営企業管理者   総務部長      玉井 直    職務執行者・企   県民文化部長    山田明子    業局長       須藤俊一   県民文化部こど           財政課長      高橋寿明   も若者局長     野中祥子    教育長       内堀繁利   健康福祉部長    福田雄一    監査委員      田口敏子   環境部長      猿田吉秀   産業労働部長    林 宏行   観光部長      渡辺高秀         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      村松敏伸    議事課主事     松橋高志   議事課長      矢島 武    総務課課長補佐   宮島文明   議事課企画幹兼   蔵之内真紀   兼庶務係長   課長補佐              総務課担当係長   津田未知時   議事課担当係長   矢島修治    総務課主事     浜村幸宏         ───────────────────  令和4年12月7日(水曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑    議員辞職の件(日程追加)      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    議員辞職の件    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(丸山栄一 君) これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △議員辞職の件 ○議長(丸山栄一 君) 次に、平野成基議員から議員の辞職願の提出がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  ただいま報告いたしました議員辞職の件を本日の日程に追加し、その順序を変更いたします。  本件を議題といたします。  お諮りいたします。平野成基議員の議員の辞職は、これを許可するに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君) 御異議なしと認めます。よって、平野成基議員の議員の辞職は許可することに決定いたしました。          ────────────────── ○議長(丸山栄一 君) 次に、本郷一彦議員から本日欠席する旨の届け出が、小山巌警察本部長から公務出張のため本日欠席する旨の届け出がそれぞれありましたので、報告いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(丸山栄一 君) 次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、熊谷元尋議員。       〔12番熊谷元尋君登壇〕 ◆12番(熊谷元尋 君) おはようございます。熊谷元尋です。  初めに、空き家対策についてです。  国では、5年ごとに住宅・土地統計調査を実施していますが、平成30年の調査によれば、国内における空き家の数は約849万戸、空き家率は13.6%で、空き家の数はこの20年間で約1.5倍に増えているそうです。また、県内の空き家の数は約20万戸あり、空き家率は19.6%と全国でも高く、昭和43年の3.8%から約5倍に増えています。  そこで、長野県はなぜ空き家率が高く、空き家が増えるのでしょうか。また、空き家が増えることでどのような問題が発生しているのでしょうか。さらに、空き家対策への県の支援状況並びに成果を田中建設部長に伺います。  次に、同じ空き家であっても、屋根等が朽ち、今にも倒壊しそうな危険性のある空き家が市町村にとっては問題で、このような空き家の中には所有者が不明で放置されているケースもあります。  国では、このような状況を踏まえ、平成27年に空家等対策の推進に関する特別措置法を施行し、適正な管理がされず倒壊のおそれがあり、周辺住民の生活環境に影響を及ぼすような空き家を特定空家として市町村が指定し、所有者の管理の改善の助言、指導、勧告、命令や代執行ができるようになりましたが、うまく機能しているのでしょうか。  そこで、県内における特定空家の件数と助言、指導等の措置状況について、また、行政代執行等が実施された件数と課題並びに代執行に対する県としての支援策を田中建設部長に伺います。  次に、今後、人口減少に加え、団塊の世代が75歳以上となる2025年以降はさらに空き家が増えると言われています。この傾向は長野県でも同じで、空き家の発生を抑え、適正に管理し、活用等を進めるには、県や市町村は地域住民や民間との連携をこれまで以上に進めることが大切で、加えて、空き家対策を効果的に進めるための計画策定が市町村には求められます。  長野県住生活基本計画では、空家等対策計画を策定した市町村の割合を、令和2年度の66.2%から令和12年度には80%まで引き上げる目標値を定めています。令和4年度末には58市町村で策定済みとなる予定ですので、策定率は75.3%になります。そこで、令和12年度の目標値はなぜ80%なのでしょうか。100%を目指すべきと考えますが、見解を田中建設部長に伺います。  次に、空き家対策の3本柱は除却、管理、活用だそうです。市町村が空き家対策に取り組む際、相続等が複雑な場合には、空き家の所有者を特定するのに手間がかかり、所有者を特定するために県外にまで出向くこともあります。また、所有者に対して助言や指導等をしても、なかなか実行に移してもらえません。  さらに、代執行等を実施しても費用を回収することが難しく、加えて、空き家対策に当たる職員の人数が少ないといった課題があります。特に、小規模な町村では空き家対策だけに取り組むことが難しいのが現実で、町村の担当者の中には、例えば長野県地方税滞納整理機構のような枠組みをつくり空き家対策を担ってもらえると助かるといった声があります。  県は、空き家対策支援協議会を建築士会等の関係団体と設置していますが、市町村、特に小規模な町村職員が空き家対策に対する実務的なスキルやノウハウを学ぶ機会を設けるとともに、地域住民や地域おこし協力隊員等の民間人材を活用するよう行政と民間が協働して進めるべきと考えますが、見解を田中建設部長に伺います。  次に、8月30日に阿智村で実施された総務企画警察委員会現地調査に地元議員の一人として同席し、清内路空き家の会の皆さんから空き家の調査、片づけ、管理、移住者のサポートなどの取組状況について説明を受けました。  阿智村の取組は、空き家を村に寄附してもらい、改修した後、村営住宅として移住者に貸し出す仕組みですが、同様の取組は高知県梼原町で平成25年度から行われています。梼原町では、空き家を町が所有者から借り、改修した後、移住者等に貸し出します。事業費の内訳は、国の補助金が50%、県の補助金が25%、町の負担が25%だそうですが、町は空き家を月1万5,000円の家賃で貸し出し、町の負担分25%を10年ないし12年で回収します。また、売木村では、村が国の臨時交付金や企業版ふるさと納税等を活用して、空き家をコワーキングスペースシェアハウスに変えました。  長野県は、県外からの移住先として人気があり、相談件数は全国で一番です。また、今定例会では、移住者の大幅な増加に対応するために、UIJターン就業創業移住支援事業費として1億2,300万円余を補正予算案に計上しています。  そこで、年間3,000人近い移住者や二地域居住者、あるいはテレワークオフィス利用者等に対して空き家情報をどのように提供し、活用されているのでしょうか。また、空き家ビジネス等により空き家の活用を進めることが持続可能な地域づくりにつながると考えますが、見解を清水企画振興部長に伺います。  次に、県は、市町村並びに公益社団法人長野宅地建物取引業協会と連携し、楽園信州空き家バンクを設け、ホームページで情報発信をしていますが、内容が楽しくありません。例えば、遠隔地に住んでいる方が今空き家を見たいと思ったときに、空き家情報を写真で提供するのではなく、ARあるいはVR等の動画で配信するなど工夫したらどうでしょうか。また、県内の空き家20万戸と比べ登録件数が少ないと思います。あわせて、楽園信州空き家バンクの情報から空き家の活用につながった件数等の利用状況を清水企画振興部長に伺います。  次に、国、県等から市町村に対して依頼される調査についてです。  市町村には、国や県から依頼される各種の調査があります。ある自治体に年間どの程度の調査依頼があるのか問い合わせたところ、国や県からの補助金の手続や選挙執行関係、指定されている統計調査等一部を除いても、令和3年度は332件あったそうです。調査内容は、全国の市町村に共通するものもあれば、対象となる市町村が限定されるものもあるということですが、市町村では忙しい仕事をやりくりして回答を作成しているそうです。  また、県の担当部署から市町村に依頼する調査はたとえ1件であっても、県の複数の部署から依頼されれば、市町村では複数の調査依頼を受けることになります。特に、小規模な町村では1人の職員が複数の仕事を担当している場合があり、職員は1人で複数の回答を作成することになり、負担が大きくなります。  また、調査の問題点として、次のような指摘があります。  1点として、調査した結果について国、県、市町村間で共有されていない。また、結果がどのように生かされたのか分からない。2点として、エクセルで表が送られ、数字等を埋めるだけで、何のための調査だか分からない場合がある。3点として、県から朝メールで調査依頼があり、回答期限が夕方というように忙しい場合がある。4点として、調査によっては数字に表しにくかったり正確に成果を把握できない内容が含まれている場合がある。5点として、担当者レベルでは回答ができない場合には、より時間と手間が必要になることなどです。  そして、県に対しては、国からの調査依頼をただ市町村に流すだけではなく、本当に必要な調査であるのかという問題意識を持っていただき、時には国に対して調査の件数を減らしてもらうための提言をするなど、国のほうに顔を向けて仕事をするのではなく、市町村の実情を理解し、市町村に寄り添った対応をしていただきたいといった意見がありますが、いかがお考えでしょうか。  また、以前調査に関連してこんな話をお聞きしました。ある自治体では、調査への回答が遅れた際、県から問合せの電話があったそうですが、対応した自治体の職員は、経験年数が少なく、よく分からなかったそうです。それに対して、県の職員は、小規模自治体であるがゆえに調査への回答が遅いと言わんばかりの応対だったそうです。自分たちに回答が遅れた責任があることは分かりますが、若手職員が悲しい思いをするような県職員の対応にも問題があるのではないかと指摘されました。以上、見解を阿部知事に伺います。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君) 私には4点御質問をいただきました。  まず、県内の空き家の状況及び市町村の空き家対策への支援状況と成果に関するお尋ねでございます。  県内の空き家率は全国3位と高く、別荘等が多いことが要因の一つであると考えられます。人口減少とともに空き家は増加傾向にあり、別荘、一般住宅を問わず、管理が不十分な空き家の増加により、住環境や景観が悪化することが懸念されます。  県では、市町村への専門家の派遣や職員の知識習得のためのセミナーを開催しているほか、市町村相互の連絡調整や地域の実情に応じた対策の検討を支援するため、10広域ごとに空き家対策地域連絡会を設置しています。これらの支援により除却や改善を行った管理不全空き家は平成27年度から昨年度までで1,405棟あり、代執行も行われています。  次に、特定空家の指定等の状況と代執行に関するお尋ねです。  市町村による特定空家の指定は昨年度末現在で197件であり、管理者に行った助言、指導等は昨年度は50件です。また、代執行は平成27年度から令和3年度までに11件で、代執行に係る課題としては、手続に当たり法律的な専門知識が必要なことや費用回収の困難さなどが挙げられます。県では、先ほど申し上げたセミナーでの先行事例の情報提供や専門家の派遣等の支援を行っております。  次に、空家等対策計画の策定率の目標に関するお尋ねでございます。  長野県住生活基本計画では、計画策定時における市町村の空家等対策計画の策定状況や将来的な策定意向を考慮し、県の目標値を80%に引き上げることとしたところです。市町村に対しては、国の補助事業の活用が可能となるなど空家等対策計画策定のメリットを十分周知した上で、県の次期計画の策定に際しては、その時点の市町村の策定状況等を踏まえて目標の見直しを行ってまいります。  最後に、市町村職員スキルアップ支援空き家対策における官民協働に関するお尋ねでございます。  空き家対策を進めるには、行政が不得手な不動産取引等の実務面の知識が必要である場合もあることから、その蓄積や民間の専門家等の活用も重要です。市町村職員スキルアップへの支援については、現在のセミナーに加え、実務的な事例の共有など、より実践的な知識の習得にふさわしい方法を検討してまいります。  また、地域連絡会において、空き家対策に関する地域おこし協力隊の新しい取組事例の紹介などを通じて、効果的な民間などとの協働について市町村と共に考えてまいります。
     以上でございます。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君) 私には空き家に関して数点お尋ねをいただきました。順次お答えいたします。  まず、空き家情報の提供、活用についてであります。  県では、平成27年8月、県宅建協会と連携協定を結び、市町村と不動産業者が保有する空き家情報をまとめて紹介する楽園信州空き家バンク、ウェブサイトでございますけれども、これを開設し、移住や二地域居住を検討する方に向け情報提供を行っております。  この楽園信州空き家バンクへのアクセス件数は、コロナ前の令和元年10月の約6,500件に対し今年10月は約1万2,500件と約2倍に伸びております。また、東京圏からのアクセスが全体の半分近くとなっており、首都圏を中心として多くの方に御活用いただいております。  続いて、空き家活用を持続可能な地域づくりにつなげてはというお尋ねであります。  地域で増加する空き家を移住者や二地域居住者に有効活用していただくことは、地域の活力創出に寄与するものと認識しております。  そのため、県では、都市部住民と地元住民が共に空き家改修に参加することにより地域に愛着を深めながら継続的な関係構築を促すプログラムを実施するとともに、そのノウハウを県内各地に普及できるよう、市町村担当者地域おこし協力隊員に対して研修や伴走支援を行っております。  また、県内の市町村においては、国の交付金を活用して、120年以上前に建てられた商店を改修しコワーキングスペースとして活用している事例ですとか、元気づくり支援金により教員住宅を改修し、お試し住宅として活用する事例などがあると承知しております。加えまして、県宅建協会では、銀座NAGANOにおいて、首都圏在住で県内に空き家を所有する方向けの出張相談会などを開催しており、今後とも官民が連携しながら空き家の活用に取り組んでまいります。  続いて、楽園信州空き家バンクについてお答えいたします。  楽園信州空き家バンクでは、これまで、検索機能、間取り図、写真等の充実や市町村の移住支援制度を掲載するなど利便性の向上を図ってまいりました。議員御指摘のように、サイト閲覧者の関心を引くという観点は重要でありますので、サイトを運営している県宅建協会と連携し、さらに多くの方に閲覧いただけるよう引き続きサイト内容の充実に取り組んでまいります。  また、空き家バンクへの登録件数についてですが、市町村、県宅建協会会員から常時500件前後の物件を掲載いただいております。  一方で、空き家数に比して空き家バンクへの登録が少ない理由といたしましては、所有者の側におきまして、先祖から受け継いだ家であり他人に譲りたくない。お盆、正月に帰省するため譲れない。遺品や家財の整理の必要があるなど様々な事情があり、売買や賃貸として市場に流通しないということが理由と考えております。  最後に、成約件数についてでありますが、毎年200件から300件で推移しており、令和3年度までの6年間で計1,562件が成約となっております。今後とも楽園信州空き家バンクが県内への移住を希望される方々に有効に活用されるよう、市町村、県宅建協会と連携しながら取り組んでまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には国、県から市町村に依頼される各種調査について御質問をいただきました。  熊谷議員のこの御質問は、非常に様々な課題があると思って承っておりました。先日、県民の皆様方との対話集会で南信州に伺わせていただいたときにある役場の職員の方に御発言いただきました。また、地域の皆さんから発言いただいた際にも、小規模自治体では役場職員一人一人の役割が増え、中に籠もって作業しないといけない。自分みたいな人間がコミュニケーションの橋渡しをしているが、これは本当は役場がやる仕事ではないか。小規模自治体はやらなければいけないことが多いのでなかなかやり切れていない。そして、そこを地域が補完しているのではないかという問題提起が住民の方からありました。  一方で、職員の方からは、まさにこの調査に関連して、国からの調査、照会には、小規模自治体には該当しないものが多く、対応する時間がもったいない。県として昨年の回答を参考に該当なしということで作業が省略できるよう配慮してもらえるとありがたい。また、縦割りで別々の部署から同じような調査が届くというような御意見がありました。  私は、この問題は非常に奥が深いと思います。先ほど熊谷議員がおっしゃったように、一つは、まず調査について言えば、本当に必要な調査なのかどうかということを、調査する側、される側がお互いちゃんと理解しなければいけないだろうというふうに思います。実はそのときも、市町村の皆様方から見たときに何が不要ですかと問いかけたのですけれども、具体的なお話がなかったので、我々としても、市町村に対する調査の実態をまず把握していきたいというふうに思います。  また、市町村にとっては意味がないと思っても、国レベル、県レベルだと必要性が高いものもあると思いますので、そういうものはやはり御理解いただくということが必要だと思いますし、市町村の皆様方の負担感に比べて効果が薄いようなものは変えていく、あるいはなくしていく、こうしたことも必要だと思います。これは、国と県との関係も同じでありますので、まさに国に対しても提言していかなければいけないというふうに思います。  長野県は、特に小規模な町村が多いということを常に念頭に置きながら仕事をしなければいけない県であります。合併が進んで県内十何市町村などというところと比べると全く違う状況に置かれています。国はそういうところはほとんど意識しないと思いますので、やはり県としてしっかり意識しなければいけないというふうに思います。  それからもう一点、小規模町村に対する県職員の対応についてですが、不快な思いをさせてしまったということであれば大変申し訳ないと思います。これも、やはり県と市町村でどうコミュニケーションを取っていくかということが重要ではないかというふうに思います。また、これは、県民の皆様との関係とはちょっと違い、やはり行政職員としてプロフェッショナル同士コミュニケーションの取り方ということが求められると思います。市町村の皆さんも日々いろいろな努力をしていただいていると思いますけれども、なかなか追いつかないのだろうと正直思います。  私は横浜市役所にいましたが、同じ市町村ですけれども、横浜市で一つの部がやっているレベルの話を町とか村は1人でやっているのが実情だというふうに思います。先ほど申し上げたように、小規模市町村の仕事については住民の方から見てもちょっと課題があるのではないかという御意見も出ていますので、県と市町村の関係の在り方について、地域とどう分担するのか、それから我々県がどういう形で補完できるのかということについてもしっかり考えていかなければいけないというふうに思います。  これは、照会のところから端を発した話でありますけれども、小規模自治体が多い長野県としては真剣に向き合わなければいけない課題だというふうに思いますので、この照会については、まずは市町村の実情を我々がしっかり把握するところから始めたいと思いますし、県としてどうやって小規模町村を補完していくのかということについてもしっかり考えていきたいというふうに思います。  以上です。       〔12番熊谷元尋君登壇〕 ◆12番(熊谷元尋 君) 国、県からの調査依頼について知事から答弁をいただきました。  県も市町村も職員は少ない人数で仕事をしていますので、本当に忙しいと思います。行財政改革の名の下に職員数が減る一方、仕事は次から次へと増えています。日々の仕事に追われ、新しい発想で考える余裕がないのが実情ではないでしょうか。  国からの調査依頼を少しでも軽減していただけるよう、まずは市町村の実態をしっかりと調べていただいて取り組んでいただけることを期待し、私の質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君) 次に、酒井茂議員。       〔32番酒井茂君登壇〕 ◆32番(酒井茂 君) 伊那市選出、酒井茂でございます。私は、今回は県の総合5か年計画について質問いたします。  この8月には知事選挙が執行されまして、知事は120余りの公約を掲げ、圧倒的多数の票をもって再選を果たされました。これは、知事のこれまでの実績と公約が評価されたものと考えますが、知事には公約を着実に実現していくことが求められるわけであります。知事は公約については次期総合5か年計画の中に具体的に盛り込むと述べておられます。  現在の総合計画は本年度をもって計画期間が終了することから、現在県では次期計画について策定作業を行っているところでございます。この11月には総合計画審議会から計画について答申がありまして、来年の2月議会定例会で知事は計画の案について議会に提出するとされているところでございます。  さて、現在の計画を策定した後の2020年からは、社会的に大きな影響を与えたコロナ禍を経験し、変わることが当たり前の時代を迎えております。社会経済状況が変化しており、今後も変化することが想定される中で、当然のこととして、次期計画は現在の計画を単純に延長するような内容であってはならないと考えます。  そこで、知事に以下3点お聞きいたします。  一つ目。現行の総合計画を策定した当時から5年が経過する中で、長野県を取り巻く状況がどのように変化したと分析されておりますか。その上で、この変化を受けて、また、アフターコロナを見据えて、どのような姿勢で次期総合計画を策定していく方針でしょうか。  二つ目。現行の総合計画の基本目標は、一つ前の計画でありますしあわせ信州創造プランの基本目標をそのまま踏襲いたしまして、「確かな暮らしが営まれる美しい信州」としております。11月18日には総合計画審議会から次期計画の策定について答申がありまして、基本目標を「確かな暮らしを守り、信州からゆたかな社会を創る」としておりますが、知事としてこの答申を採用する方針でしょうか。採用するとすればその理由を伺います。  三つ目。現行計画には「学びと自治の力で拓く新時代」というサブタイトルが掲げられておりますが、総合計画審議会の次期計画の答申にはサブタイトルはありません。現行計画にある「学び」については、長野県の学びの風土にもつながり、日本一の学びの県を目指す姿勢を表現しており、一定の発信効果があったと考えるわけであります。知事としてサブタイトルを掲げる方針でしょうか、伺います。  次に、少子化・人口減少対策について質問いたします。  現行の総合計画の策定時には、県政における七つの課題を掲げ、そのうちの一つに、急激な人口減少と東京圏への人口流出が挙げられておりました。しかし、5年が経過した今日においては、さらに大きな課題となっております。  現行計画においては、政策推進の基本方針を実行する上での共通視点として5項目を掲げ、そのうちの一つとして人口減少社会に立ち向かうことを掲げ、県として少子化及び人口減少に取り組んでまいりましたが、目に見えるような成果を上げることはできておりません。加えて、今回のコロナ禍によりまして、少子化が加速しております。何としても少子化と人口減少にストップをかけなければならないと考えます。  私は、人口の維持を図るためには、移住を促進するよりも、もともと県内に住んでいる人の転出を抑えるための施策に優先的に取り組むべきと考えます。県内に住む若者が県外に転出している状況にストップをかけずに県外に住む若者に対して県内への移住を促進しても、人口の減少に対しては効果が薄いと考えます。  現行の総合計画では、少子化対策として合計特殊出生率を八つの重点目標の一つに掲げております。2022年時点で1.59から1.76に増加することを目標にしましたが、最新の数値では1.44と大きく目標を下回っております。  また、人口の社会増についても重点目標の一つに掲げ、2022年時点で減少から増加へと転じることを目標にしておりましたが、最新の数値では577人の減少となっており、目標には及んでおりません。  少子化対策については、議会といたしましても重要課題と認識し、議員提案によりいわゆる少子化対策推進条例が今年2月の議会で可決、3月に施行されたところであり、実効性のある施策の推進が求められているところであります。  そこで、以下2点、知事にお聞きいたします。  一つ目。本県における少子化、人口減少の状況をどのように認識しておられますか。  二つ目。知事は、選挙戦で少子化と人口減少に歯止めをかけることを公約に掲げましたが、少子化、人口減少の状況を県政の中心的な課題と捉え、次期総合計画においてはその対策の実行を柱に据えるとともに、着実な成果が得られるように、長期的視野に立って挑戦的とも言える施策を掲げることを提案いたしますが、いかがでしょうか。  少子化については、出生率が劇的に低下していることから、安心して妊娠、出産、育児ができるように出生率の向上のための施策に早急に取り組まなければなりません。同時に、安心して子育てができるように、子育て世代への支援策を充実していくことが求められております。  育児休業制度が不十分な企業や、制度があっても休業が取りにくい企業がありますが、子育て世代が必要な育児休業を取れるよう県としてリーダーシップを持って企業に要請すべきと考えます。  大手商社であります伊藤忠商事では、少子化を止めるために、社員の出生率を公表するとともに、出生率向上のための様々な対策を実施した結果、2005年度に0.6であったものが2021年度には1.97と劇的に向上しております。やればできることを証明したものであります。  さらに、男女の賃金格差の解消が急務となっており、政府は、令和3年度の補正予算で、看護、介護、保育職員について賃金引上げに要する費用を確保したところでありますが、賃金の引上げを将来的にも担保するためには恒久的に財源が確保されなければならないと思います。  また、人口減少の主な原因として、若者、特に若い女性の県外への流出を挙げることができますが、一旦県外に出ても本県に戻ってもらえるような環境整備を推進しなければならないと考えます。  全国的なデータとして最近公表されました資料によりますと、女性の県外への転出超過数を男性の転出超過数で割った数値を見ますと、長野県は10.5倍となっており、全国で断トツの1位であります。全国2位が山口県で5.5倍であることを見ても、長野県は女性の県外への転出が著しいことが分かります。  また、長野県における若年女性、20歳から39歳でありますが、この転出超過数は10年前に比べて63%も増えており、経年変化でも転出超過が進んでいることが分かります。もはや若年女性の転出超過の現状をのんびりと構えて見ている場合ではありません。まさに危機的な状況であります。若年女性の転出超過に対して一刻も早く対策を講じなければならない非常事態であります。男性が幾ら結婚を望んでも、また行政などが男女の出会いの場をつくっても、相手になる女性が県内から出て行ってしまったのではカップルの数を増やすことはできません。  同様に、出生数の増加を図ろうとしても、子供を持つことを望む女性が県内から出て行ってしまったのでは出生数の増加を実現することはできません。少子化、人口減少の最も効果的な対策は、若い女性が県内に住むことであると言っても過言ではありません。この場合、まずは県内に生まれ育った女性が県内に住んでもらうことが重要と考えます。  県は、次期総合計画を策定するに当たって、広く県民の声を聴くために地域懇談会を開催してまいりましたが、若者の県外流出に関して次のような意見がありました。  一つ目。若い女性が地域に残りたくないと感じる背景には、地域に根強く残る性別による役割分担の意識がある。二つ目。価値観の多様化に向けた家族制度や地域活動を見直す必要がある。三つ目。若い人に選ばれる地域であることや、企業には寛容性や多様性が求められているなどがあり、それぞれ的を射た指摘であります。  私は、昨年6月議会定例会で一般質問を行い、人口減少の主な原因に若い女性の県外流出があり、これを食い止めるには若い女性に選ばれる地域づくりを進めなければならないことを指摘したところでございます。これに対して、知事は、若い世代が安心して子供を産み育てられる魅力ある地域となるよう様々な施策を総動員して取り組んでいきたいと答弁しております。  私は、若い女性が輝く県づくりのためには、県が本腰を入れて市町村と連携して、女性が住みやすいと思える県にするための諸施策を推進することが重要と考えます。政府が決定いたしました「女性版骨太の方針2022」におきましては、固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込みの解消を図ることが掲げられております。若い女性が住みよい地域にするには、長野県自体が変わらなければなりません。しがらみがなく、寛容性や多様性を重んじる長野県へと変わる必要があります。今こそ変わるときであります。  そこで、知事にお聞きいたします。  私は、過去2回にわたり、議会一般質問におきまして、人口の減少を防ぐには、一旦県外に転出しても戻ってもらえるように若い女性に選ばれる県を目指すべきことを提案してきましたが、具体的な施策が見えておりません。今回の知事選挙において、知事は、女性や若者から選ばれる県にすると訴えておられましたが、若者、特に若い女性に選ばれる県づくりを実現するために次期総合計画の施策にどのように反映されるのでしょうか。  次に、企画振興部長にお聞きいたします。  次期総合計画の答申では、基本目標を実現するために、特に女性、若者から選ばれる施策については具体的なアクションを明示するよう求めております。これに伴い、総合政策課からは、参考例として、女性、若者、子育て世代の移住を促進することが掲げられておりますが、移住の促進より先に、女性、若者の県外への流出の抑止や県内での定職、定住を促進する施策に優先的に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、以下2点、知事にお聞きいたします。  一つ目。現行の総合計画の基本方針の一つであります「誰にでも居場所と出番がある県づくり」の中の五つの重点政策の一つとして「女性が輝く社会づくり」が掲げられておりますが、男女の固定的な意識や慣習を変えていく施策については記載がありません。そこで、次期総合計画にはこうした施策を掲げることを提案いたしますが、いかがでしょうか。  二つ目。女性が輝く社会づくりを実現するには、部局横断的に女性政策を推進する必要がありますが、現状では県民文化部の人権・男女共同参画課が総合的な司令塔になっており、機動的に施策を推進するには組織としては弱いと考えます。そこで、女性政策を各部局と連携して総合的に推進する組織として、現在のこども若者局をこども若者女性局とするか、新たに女性局を設置することを提案いたしますが、いかがでしょうか。  次に、こども若者局長にお聞きいたします。  子供を持つことを望む夫婦に対しては、結婚、出産、子育てに対する支援及び仕事と暮らしの両立ができる支援が不可欠でありますが、県としてどのような支援策を講じていかれるでしょうか。  次に、教育長にお聞きいたします。  私は平成28年2月議会定例会で一般質問を行い、女性の尊重に関して、固定的な意識や慣習を変えていくために公民館活動を活用することを提案したところであります。  これに対して、教育長は、長野県は公民館活動が盛んであり、県としても長野県生涯学習推進センターが実施している男女共同参画セミナーに加え、生涯学習推進センターに新たに設置する公民館支援専門アドバイザーを活用し、知事部局とも連携し、男女共同参画社会の位置づけに向けた啓発など地域の公民館における学習活動を支援していきたいと答弁しましたが、6年経過した現在において、答弁にあるような取組が全く見えておりません。教育委員会として知事部局と連携する中で、地域の公民館活動等を含めて具体的にどのような取組を行ってきましたか。また、女性を尊重し、地域に残るあしき慣習や女性に対する差別意識をなくすために今後どのような施策を推進していかれるでしょうか。  以上で質問といたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 次期総合5か年計画に関連して、とりわけ女性の分野を重点的に御質問いただきました。  まず、この5年が経過する中で、長野県を取り巻く状況はどう変化したと考えているのか。また、どういう姿勢で総合計画を策定していく方針かという御質問であります。  5年前に比べると、大分世の中の景色が変わってしまったというふうに思っています。少子化と人口減少は、また後ほども言及しますが、非常に急速に進んできています。各産業界の皆さんとお話をしても、共通する話題は、人手が足りない、担い手が足りないということでありまして、ここは相当深刻になってきているというふうに思っています。  一方で、DXということが当たり前のように言われるようになり、デジタル技術等技術革新が急速に進んできています。さらに、本県としては、この間、東日本台風災害といった大規模災害、また、それの要因となっていると考えられております気候変動への対策、こうしたことが本県にとっても、そして我が国全体にとっても重要な課題として位置づけられてきています。また、コロナ対応、感染症対応、医療の充実といったようなことも課題になってきています。加えて、ウクライナ紛争、急激な円安の進行ということで、グローバル化に伴う負の側面というものも大分目立つように、グローバル化が全てハッピーという形ではなくなりつつあるというふうに思っています。  このように、この5年間で非常に大きく世の中が変わりまして、変化が非常に急激だというふうに思っております。先を見通すことがなかなか困難な時代になっているというふうに考えています。  こうした状況認識の下で今後総合計画を策定していくに当たりましては、少子化対策条例も御制定いただいていますので、少子化、人口減少は最重要の課題としてしっかり取り組まなければいけないというふうに思います。  また、中長期的な観点で気候変動問題にしっかり向き合うとともに、それを生活の質の向上や経済社会の新たな発展のチャンスにしていかなければいけないというふうに思っています。加えて、デジタル技術を活用して、企業の生産性の向上、そして快適な暮らし、こうしたことにもつなげていかなければいけないと思います。また、自然災害への備えと併せて、食料、エネルギーといったグローバルリスクに対する備えについてもしっかり向き合っていかなければいけないというふうに思っています。  新しい時代に向けて社会経済システム自体を大きく変換する、転換するという決意を持ってこの危機的状況を克服し、その先に明るい信州の未来をつくっていきたいと考えております。  続きまして、総合計画審議会の答申を採用する方針か。また、その理由についてという御質問であります。  審議会の答申を踏まえて我々が計画をつくっていくということを基本としておりますので、細かい点についてはいろいろ変えていくところはあるかもしれませんけれども、基本的な考え方や方向性については尊重して対応してまいります。  特に、答申に掲げられた基本目標「確かな暮らしを守り、信州からゆたかな社会を創る」ということにつきましては、非常に困難な状況を克服して県民の皆様方の暮らしをしっかり守っていかなければいけないという今の危機意識、そして、社会、経済が成熟し人々の価値観が多様化する中で、物質的にも精神的にも満たされた真に豊かな社会をつくっていかなければいけないというこれからの方向性、こうしたことは私の思いとも一致しておりますので、これを採用したいというふうに考えております。  続きまして、次期計画のサブタイトルでありますが、現行計画のタイトルが「しあわせ信州創造プラン2.0」、サブタイトルが「学びと自治の力で拓く新時代」としています。次期計画については、現在検討中という状況であります。今、大きな時代の転換点だということを十分意識しながら、県民の皆様方に対しても訴求力のあるタイトル、サブタイトルとして考えていきたいというふうに思っております。ここはしっかり検討していきたいと思います。  それから、本県の少子化、人口減少の状況をどう認識しているのかという御質問であります。  御質問にもありましたように、非常に危機的だというふうに思っております。本県の総人口は、2000年の221万5,000人をピークに、2021年には203万3,000人ということで、20年前に比べて20代の人口が約10万人、約4割減少しているわけでありますが、特に注目しているのは、この20代後半の女性は45.9%の減、僅か20年間で半分近く減少しており、我々が本当にしっかり考えなければいけない重要な課題だというのは酒井議員の御指摘のとおりだというふうに思っています。  それに伴って、出生数も2021年は1万2,514人と過去最少を毎年更新し続けている形になっておりますので、20年前と比較すると約4割減少という状況であります。特に、2016年から20年の5か年平均は3.8%の減ということであります。  前の総合5か年計画の計画期間の2013年から2017年の減少率は2.7%減ということになっておりますので、子供の数の減少も、ただ減少しているということだけではなく、加速化しているという状況であります。これは、本当に我々行政、そしてまさに県民の皆様方ともこうした問題をもっと可視化する形で共有しながら対策を進めなければいけないというふうに思っています。  先ほど申し上げたように、各分野の皆さんと話をすると、人手が足りないということが必ず出てきますけれども、これだけ人口減少が進んで子供の数が減れば、人手が足りなくなるのはある意味当たり前の話でありますので、そこにしっかり対応していかなければいけないというふうに思います。今、国においても、全世代型社会保障の議論が進んでおりますので、本県としてもここについてはしっかり向き合っていきたいというふうに思っております。  続きまして、若い女性から選ばれる県づくりの次期総合計画への施策の反映についてという御質問であります。  今回の選挙で、女性・若者から選ばれる県づくりということを訴えてきました。まさにこれからどう具体化するかということが県民の皆様方から問われてくるのだろうというふうに思っております。  まず一つは、新時代創造プロジェクトということで、今回新しい総合計画の中で幾つか大きな転換、施策の新展開を図ってプロジェクトとして掲げていきたいというふうに思っておりますが、その中に、女性・若者から選ばれる県づくりのプロジェクトを掲げていきたいというふうに思っています。  また、このプロジェクトだけではなくて、県庁全体でこの問題にしっかり向き合っていかなければいけないというふうに思います。県民の皆様方との対話集会の中でも、御自分で事業をされている女性からは、一定程度保育所等はあるけれども、例えば勤務時間が決まっていないような仕事に就いている人間、あるいは夜間の勤務が必要となる人間にとっては、常に仕事を取るのか子育てを取るのかが迫られているという御意見もいただいています。これは、本当に社会全体で考えていかなければいけない深刻な問題だというふうに思います。
     そういう意味で、この仕事と子育ての両立は、企業の皆様方にも協力をいただいて本格的な施策を構築していかなければいけないというふうに思いますし、また、子育て世代、若い世代の経済的負担をどう軽減していくのかということも大きな課題だというふうに思います。先ほど小規模自治体の話をしましたけれども、小規模町村ほど実は非常に手厚い子育て施策を講じていらっしゃいますので、そうしたことも我々は逆に学ばせていただかなければいけないというふうに思っています。  また、御質問にもあった男女の固定的役割分担、人手が足りないのに女性が活躍できないというのは、全くもって矛盾した社会だというふうに私は思っておりますので、この仕事は男性のもの、こういうところは女性は参加しないといったような発想はなくしていかなければいけないというふうに思います。そういう意味で、女性・若者から選ばれる県づくりを総合計画の中でもしっかり位置づけるとともに、全庁を挙げて向き合っていきたいというふうに思います。  また、こうした施策を推進する上では、財源の話も実は重要だというふうに思っています。国レベルでは、防衛費の議論が盛んに行われています。  一方で、この少子化対策の議論もなされてはいますけれども、まだまだ国民的な議論には至っていないのではないかというふうに思います。県としても、こうした危機的な状況の中でどう局面を打開するのかということについて国に対して問題提起をしていきたいというふうに思いますし、県としても新たな税の創設等も含めて検討を行っていきたいというふうに考えております。若者、女性の県外への流出防止、そして県外からのUターン、Iターンの促進、こうしたことを進めるため、大胆かつ戦略的な政策を検討していきたいと考えております。  続きまして、次期総合計画に男女の固定的な意識や慣習を変えていく政策を掲げることを提案するがどうかという御質問であります。御指摘のとおりでありますので、しっかり位置づけるようにしていきたいというふうに考えております。  幾つか観点があると思いますが、先日もジェンダーの問題に取り組んでいらっしゃる団体の皆さんと意見交換をさせていただきました。一つは、やはり女性の活躍をもっと支援してほしいという御意見がありました。女性の職業人としてのスキルアップを県としてもっともっと応援していかなければいけないというふうに思いますし、女性の起業家の数も長野県はほかの県と比べて非常に少ない状況にありますので、そうした女性を応援していきたいというふうに思います。  また、輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会、これは、内閣府が提唱して、私も参加させていただいておりますが、まずはいろいろな分野のリーダーの皆様方に問題意識をしっかり持っていただくということが必要だというふうに思います。こうしたリーダーの会への参画等も関係方面に求めていかなければいけないというふうに思っております。  そうしたことに加えて、今も長野県内で活躍されている女性の方々が大勢いらっしゃいますので、そうした方をもっと見えるように可視化していく、私も積極的にそうした女性の方々との対談等を行って、県民の皆様方にこうした分野でも女性が活躍しているということをぜひしっかりお伝えしていきたいというふうに思います。  こうしたことに加えて、今、市町村ごとの男女参画の状況をマップ化していますので、こうしたこともより広く県民の皆様方と共有していきたいと思いますし、先ほどから申し上げているような仕事と家庭の両立支援や子育て家庭の財政的、経済的負担の軽減、こうしたことにも取り組んでいきたいというふうに思っています。この男女の固定的な意識や慣習はこうした取組のベースになる話でありますので、そこはしっかり総合計画に位置づけていきたいと思っております。  最後に、こども若者女性局または女性局の設置についてという御質問であります。  今申し上げたように、総合計画においては、女性・若者から選ばれる県づくりにプロジェクトとして取り組んでいきます。分野横断的に取り組み、私もリーダーシップを発揮しながら各部局と共に進めていきたいというふうに思っておりますが、この組織の在り方については、全体の在り方とも関係していますので、今後の検討課題としていきたいと。お話いただいたように、長野県における女性の活躍や、女性を引きつける魅力をつくるということは非常に重要な課題だというふうに思っておりますので、そうしたことも念頭に置きながら組織の在り方について考えていきたいと思っております。  以上です。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君) 私には移住促進より先に県外への流出抑止や県内での定住促進を優先的に取り組むことについてお尋ねがありました。  先ほど知事から答弁申し上げたとおり、今般の計画策定に当たりましては、新時代創造プロジェクト(仮称)として、少子化、人口減少を克服する女性・若者から選ばれる県づくりのプロジェクトを掲げ、盛り込むべき具体的なアクションについて現在検討を進めているところです。このプロジェクトでは、県外からの移住施策全般を広く進めるというよりも、県外への流出防止や、一旦進学等で県外に転出した方々の県内へのUターン促進に向けた取組などを優先して盛り込もうと考えているところです。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君) 私には結婚、出産、子育てに対する支援、仕事と暮らしの両立ができる支援についてお尋ねいただきました。  少子化に歯止めをかけるためには、若者の結婚、出産、子育ての希望をかなえ、女性や若者から選ばれる県づくりを進めていくことが重要です。本年6月に行いました県民アンケートでは、理想の子供を持つことができない理由として、子育てや教育にお金がかかり過ぎるということを挙げる方が約半数いらっしゃるほか、約1割の方が自分の仕事に差し支えるということを理由に挙げていらっしゃいます。経済的負担の軽減や仕事と子育てを両立できる環境づくりの推進に特に力を入れて取り組んでいく必要があると考えております。  経済的負担の軽減といたしましては、県民の希望をかなえる少子化対策の推進に関する条例を踏まえ、3月に策定いたしました若者・子育て世代応援プロジェクトとして取り組んでいる新婚世帯の住宅取得費用等を支援する結婚新生活支援事業の実施市町村の拡大、子供の医療費助成における市町村への補助を引き続き進めるとともに、大学等における教育費負担を軽減する新たな給付型奨学金を来年度からスタートしたいと考えております。  また、仕事と子育ての両立支援といたしましては、育児休業を取得しやすい職場づくりを進めるために職場いきいきアドバンスカンパニー認証の取得促進を図るとともに、就業相談等により希望する女性が出産、子育てを経ても働き続けられるような支援を引き続き実施してまいりたいと考えております。  現在策定を進めております次期総合5か年計画、また、次期子ども・若者支援総合計画に必要な支援をしっかりと盛り込み、子供を持つことを望む夫婦の希望実現を応援してまいります。  以上でございます。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君) 固定的な意識や慣習を変えていくための公民館活動に関する取組と施策についてのお尋ねでございます。  県教育委員会では、平成28年度から、生涯学習推進センターに配置している公民館支援の専門職員が中心となり、公民館関係の女性職員学習会の開催や、県内で女性が活躍している地域づくりの好事例の紹介等を行ってまいりましたが、地域社会における固定的な性別役割分担意識はいまだ解消には至っていないと考えております。  男女共同参画を実現するための公民館の取組として、旧来の慣習や意識を変えることを促す取組とともに、女性が地域づくりに主体的に参画することを後押しする取組が重要と捉え、今後これらの取組への支援を充実してまいります。具体的には、県公民館運営協議会と連携し、男女共同参画の視点に立った公民館活動に関する研修を新たに計画するほか、男女共同参画センターの講座を公民館で開催できるよう呼びかけるなど、関係機関との連携を充実してまいります。  また、若い世代の女性の中には、従来型の組織ではなく、新しい形で人とつながり、自分が培ってきたスキルを地域の中で生かしたいと望む声も聞かれることから、地域の公民館が中心となって、そのような方々の後押しができるよう、生涯学習推進センターによる公民館職員などの支援力アップを図る研修講座を充実してまいります。  以上でございます。       〔32番酒井茂君登壇〕 ◆32番(酒井茂 君) それぞれ答弁をいただきました。  知事の考え方はもっともでありますし、変革の精神を含めて今後に大いに期待をするところでありますので、よろしくお願いしたいと思います。教育長の今の答弁についても、公民館の活用については今後しっかりやっていくという答弁でありましたので、今までとはがらっと変わって積極的に推進していただけるものと確信しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  少子化と人口減少対策につきましては、集中的に人、財源を投下したとしても、出生率が向上したり、人口が維持あるいは増加すれば、長期的には必ず県民所得や税収が増加し、ひいては長野県の活性化につながるものであり、対策の実行による効果は絶大なものがあると考えます。また、少子化と人口減少対策は、行政だけが取り組むものではなく、人材の受け手であります企業においても取り組むべきと考えます。  今後、県の強いリーダーシップの下で、少子化・人口減少対策に行政、産業界が一丸となって全力で取り組むよう要望し、以上で全ての質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君) 次に、荒井武志議員。       〔23番荒井武志君登壇〕 ◆23番(荒井武志 君) 皆様、こんにちは。改革・創造みらい、千曲市・埴科郡区選出の荒井武志でございます。  初めに、産業人材の育成と雇用確保についてであります。  長野県の主要な産業であるものづくりは、知識と経験による技術、技能、運用ノウハウなどが競争力の源泉であり、これらを担う人材の確保育成の推進が極めて重要であると捉えられております。  特に、高校生においては、就職段階での1人1社制の慣行や就職後の離職率の高さ等の課題などがあり、在校中や、場合によっては中学段階からの職業教育が求められているところと承知していますが、1人1社制につきましては、既に10月16日から1人2社までの複数応募、推薦を認めるとして扱われているとお聞きしているところでありまして、着実に実効が上がるよう期待させていただきたいと思います。  ここで、新規学卒就職者の離職状況について若干触れておきたいと思います。  厚生労働省の調査結果に係る新聞報道によりますと、2018年(平成30年)3月に大学を卒業して就職した人のうち3年以内に仕事を辞めた人の比率は31.2%で、20年以上にわたりこの3割程度の水準が続いており、最初に内定が出た企業にそのまま就職したり、実際の業務や働き方が想定と違っていたりなど、就職時のミスマッチが影響していると見られる。加えて、このミスマッチは、採用時の説明不足など企業側にも課題はありそうで、企業が説明不足で許されていた時代は終わったと指摘する教員もいると報じています。  厚生労働省の離職状況調査による新規高卒就職者の就職後3年以内の離職率は36.9%にも達し、大卒者よりも5%余り高くなっているところであり、当県においても離職者が相当数おられるものと推察するところです。  このような現状を踏まえつつ、高校生をはじめ若年者の離職理由として、職業意識、勤労観の欠如、進路意識や目的の希薄化などが指摘されていることから、就労前の高校生等を対象に、地元定着が図られるような勤労観醸成に向けた取組が極めて重要であると認識するところです。  それでは、高校生の就職支援について3点、産業労働部長に伺ってまいります。  一つは、離職させないための経営の在り方、キャリア教育等人材育成などに関する企業への取組支援や取組事例の共有化などが重要と考えますが、いかがでしょうか。  二つに、県の将来を担う子供たちに地域企業や産業の魅力を着実に伝えることにより、地元への就職を意識してキャリア形成が行えるよう、企業経営者や専門的知識を持った人等を学校に派遣するなど郷学郷就促進のための地域と未来をつなぐゼミ事業への取組がなされていると承知していますが、現状認識と課題、さらなる取組についてどのようにお考えですか。  三つに、産業界が必要とするものづくりの技術を有したDX人材を、地元企業、高校、工科短大が連携して5年間かけて育成する取組である信州P-TECH及び推進のためのコンソーシアムの設置については、一定の評価とともに、その効果に期待する声が上げられています。事業の狙いと取組の現状について伺います。  より効果を上げていくためには、参加企業と参加高校の拡大が重要と考えますが、どのように取組を強化していくのでしょうか。また、このことについて県民の認知度が低いとの指摘をお聞きしているところですが、県民への周知の現状と認知度を上げるための取組について伺います。  次に、大学生の県内就職促進について2点知事に伺います。  今定例議会冒頭の議案説明で、知事は、次期総合5か年計画の策定に触れて、「新しい時代に向けて、特に力を入れて進めていく政策については、新時代創造プロジェクト(仮称)として位置づけ、部局の枠を超えて重点的に取り組んでまいります。とりわけ、少子化や人口減少を克服するための女性・若者から選ばれる県づくり、持続可能な脱炭素社会や最先端技術等の活用を図るデジタル社会の実現などについて、社会経済システムの大きな転換にもチャレンジしつつ、鋭意取り組んでまいります。」と固い決意を述べられました。女性や若者から選ばれる県づくり、選ばれる長野県にするにはどうすればよいのでしょうか。  少子高齢社会がさらに引き続く中で、生産年齢人口もまた減少していくことが想定されており、県内中小企業を取り巻く雇用環境は一層厳しくなると思われます。  知事は、4選出馬に向けた121の約束の中で、県独自の奨学金返還支援制度を活用して信州回帰と県内での就労を促進するとされたほか、所得が少ない家庭の子供でも大学等の高等教育への進学を志すことができるよう奨学金制度や学習支援の充実を検討するとも表明されています。  そこで、お伺いします。令和5年4月から開始される従業員への奨学金返還支援制度の概要と取組状況はどのようか、伺います。また、県として給付型の直接支援に取り組むべきとも考えますが、いかがでしょうか。  加えて、働く視点、働き続けられる環境づくりが重要と考えます。労使、行政の役割分担についての認識と、今後どのような取組が必要と考えるか、御所見をお伺いします。  次に、若年者、離職者への就職支援、定着促進について知事にお伺いします。  知事は、公約の121の約束の「(4)働き方改革の推進と就労支援の強化」の中で、「広域圏ごとの就労支援体制を一層強化し、女性、若者や困難を抱える方々の求人開拓や就業促進等をワンストップで行う「地域就労支援センター(仮称)」の設置を検討します。」として、具体化に向け取り組まれてきていると承知していますが、本件につきましては、去る9月定例議会における竹花議員の質問に、総合的に対応できるようにしていきたい。また、機動性、利便性も高めていきたいと答弁されました。  そこで、さらに一歩踏み込んで、予定される地域就労支援センターの開設に当たり、就職者の生活に寄り添った中長期的視点での定着支援策を用意すべきと考えますが、どのように取り組んでいかれますか。お伺いいたします。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君) 高校生の就職支援について3点御質問をいただきました。  初めに、離職させないための企業の取組支援についてでございます。  厚生労働省の調査では、高校生の新規学卒者における就職後3年以内の離職率が直近では35.9%となっており、ここ数年は30%台の後半から40%で推移しております。採用した貴重な人材の約4割が離職するという事態は、採用する側、入社する側、双方にとって好ましいことではないと受け止めております。このため、学生に対しましては、在学中から勤労観、職業観を養えるよう、新社会人ワーキングセミナーや高校生向けキャリア教育講座などにより職業観の涵養や労働関係の基礎知識の習得を支援しております。  他方、企業への支援としては、職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度にネクストジェネレーションコースを設け、若者の雇用や育成に積極的に取り組む企業を専用サイト等を通じて広く発信し、併せて県内企業への普及を図っております。さらに、労務管理改善リーダー研修会等の労働教育講座や職場環境改善アドバイザーによる企業訪問等を通じて働きがいのある職場環境づくりを後押しするなど、若い労働者が県内に根づくよう取り組んでまいります。  次に、地域と未来をつなぐゼミの現状認識と課題、さらなる取組についてのお尋ねでございます。  昨年度からスタートしている地域と未来をつなぐゼミ事業の実績につきましては、初年度は県内の中学校等19校、1,429名が受講し、今年度は29校で1,967名が受講する予定となっております。昨年度の受講後のアンケートでは、講座の内容については、生徒、教員ともに、満足、やや満足との回答が多かったほか、9割を超える生徒から職業、技能について理解できたとの回答が得られました。  しかし、学校単位での限定的な実施であったため、地域的広がりという面では取組の充実が求められるところです。このため、今年度は、上伊那地域の郷土愛プロジェクトとのタイアップや、千曲市の市内4中学校で行われたキャリア教育の取組との共同実施など、地域の主体的な取組と連携を図りながら講座を開催しております。県といたしましては、こうした取組が全県に広がっていくことが何より重要であると考えており、引き続き地域との連携による講座の開設などを通じて生徒のキャリア形成を支援してまいります。  最後に、信州P-TECHの狙いと取組の現状、強化及び周知の現状と知名度を上げる取組についてのお尋ねでございます。  P-TECHは、教育行政、学校、企業がパートナーシップを結び、共同してIT人材育成に取り組む高等学校と2年制カレッジを統合した5年間の教育就労支援プログラムであり、本県では、県と教育委員会、信州ITバレー推進協議会、上田千曲高等学校、県工科短期大学校と参加企業によるコンソーシアムを設置し、スタートしたところです。  10月31日に工科短期大学校で開催したスタートアップ講演会では、上田千曲高校メカニカル工学科の1年生40名を対象に、日本アイ・ビー・エム株式会社の最高技術責任者である森本典繁氏から、「量子コンピュータが拓く未来」と題して世界最先端の技術やそれがもたらす未来についてお話しいただきました。講演会後の質疑応答では、予定時間を大きく超えて質問が続き、高校生の学びに対する意欲の高さを感じるとともに、社会人から受ける学びの刺激が大変重要であることを再認識したところです。  官民パートナーシップモデルである当事業の特徴は、参加企業によるメンタリングやインターンシップの受入れ、教育プログラムの策定支援などが受けられることにあり、学生が成長分野で適切な実務経験を積むことにありますので、まずは本事業を着実に進めるため参加企業を増やすとともに、将来その成果を他校へと広げられるよう取り組んでまいります。  また、県民への周知や認知度の向上についてのお尋ねにつきましては、現在、県と教育委員会のホームページで掲載しておりますが、今後の実施状況につきましても必要に応じてお知らせしてまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 産業人材の育成に関連して3点御質問をいただきました。  まず、奨学金の返還支援制度の概要と取組状況、それから給付型の直接支援についてという御質問でございます。  今、企業が従業員に代わって学生支援機構に対して奨学金を返還する場合、あるいはその企業が奨学金の返還費用を従業員に給付した場合に県が補助する制度を令和5年4月にスタートさせるべく準備をしてきているところであります。今、専用サイトを立ち上げて企業への周知を図っている状況でありまして、できるだけ多くの企業に御参加いただけるように引き続き働きかけていきたいというふうに思いますし、また、たまたま就職した人が使うということでは意味がありませんので、しっかり幅広い周知に努めていきたいというふうに考えております。  また、新しい奨学金制度を県として来年度から実施予定でありますが、これについては給付型としていきたいというふうに思っております。若い皆様方の経済的負担が少しでも減るように取り組んでいきたいというふうに思っています。  また、県内多くの市町村で独自の奨学金返還支援制度を行っていただいています。こうしたものも併せて、県としてもしっかりPR、情報発信をして若者に届くようにしていかなければいけない。先ほど御質問があったように、若い人たちに長野県に戻ってもらう、住み続けてもらうということは、今最重要の課題でありますので、そうした観点も含めてしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。  それから、働き続けられる環境づくりのための労使、行政の役割分担と今後の取組という御質問であります。  職場環境の整備については、まずは各企業において労使で十分話し合って進めていただくということが重要だというふうに思います。我々行政としては、まずそうした機運を高めていくということが重要でありますし、また、経営者の皆様方に対して職場環境整備の重要性について御理解いただくための研修等も行っていきたいというふうに思います。  また、様々な支援策、例えば、今、職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度等もつくらせていただいておりますけれども、取り組んだ企業が従業員の確保にしっかりつなげられるような支援を県としても行っていきたいと思います。  また、先進的に取り組まれている企業の事例等について幅広く紹介して、各企業で、こうした取組が考えられるのではないか、こうした取組にうちもチャレンジしようということで、経営者をはじめ企業関係者の皆様方に様々な気づきを持っていただけるようにしていきたいというふうに思います。  それから、3点目でありますが、地域就労支援センターの開設に当たり、中長期的な視点での定着支援策を用意すべきだがどう取り組むのかという御質問であります。  この就労支援については、ハローワークや市町村においても窓口を設置して取り組んでいただいておりますけれども、相談者からは、例えば、状況に応じて伴走支援、寄り添って支援をしてほしいという御意見や、自宅から電話やメールなどでも相談したいといったような御意見も伺っております。  こうしたことから、新たに設置しようと考えております地域就労支援センターにおきましては、相談される方の生活スタイルに合わせて、電話相談やオンラインツールも活用した相談も可能とし、こうしたことで利便性、機動性を高めていきたいというふうに思っております。結果として女性や若者、障害者、こうした方々にも総合的に対応できるようにしていきたいと思っております。  また、職業相談から求人開拓、紹介、就職、定着支援まで、お一人お一人の相談者に寄り添った一貫的な取組を行うようにしていきたいというふうに思っております。必要に応じて就職後の訪問で職場での御様子を伺ったり困り事の相談にも対応したりということで、できるだけきめ細かな対応ができるように取り組んでいきたいと思います。  そうしたことを通じて、就職された方がその職場でしっかり定着していただけるように支援を行っていきたいと考えております。  以上でございます。       〔23番荒井武志君登壇〕 ◆23番(荒井武志 君) 答弁をいただきました。  急激な円安等もあって、生産拠点を海外から日本へ移してくる企業が出てきております。働く人たちの汗や思い、企業の意欲などをしっかり受け止め、生かしながら、知事が表明されている選ばれる県づくりが着々と展開されるよう大いに期待し、次の質問に移ります。  続いて、高校再編・整備計画三次案について質問いたします。  県教育委員会が、去る5月24日の定例会で高校再編・整備計画の最終案となる第三次案を決定し公表したことを受け、私は、6月定例議会で、身近な旧第3、旧第4通学区に関連し4点ほど質問し、再編統合案の長野千曲総合技術新校(仮称)や松代高校普通科などについて真意などを伺ったところです。その後、千曲市では、市長が会長を務める「屋代南高校を発展させる会」が改めて検討を重ね、廃校が危惧される屋代南高校の存続について県教育委員会等へ要望を強く行っていくことが再確認されてきました。  10月7日には、小川千曲市長が県教育委員会の内堀教育長を訪ね、人口6万人の千曲市にはタイプの異なる高校が最低2校は必要。市内に高校が1校になると、近隣の市と比べて教育の機会均等で問題がある。時代のニーズに応える魅力ある学校として屋代南高校を存続させてほしいなどを訴えたとの新聞報道がありました。  この第三次案は、県議会での議論や当該地区での住民説明会を経て確定していくとのことでしたので、6月定例県議会以降、これまでどのように取り組んでこられたのか、今後どのように進めていくのかなどについて、以下7点、教育長に質問しますので、千曲市長の要望の趣旨も踏まえ、意のある御答弁を強く期待するところであります。  一つに、七つの旧通学区単位で行われた延べ42回の住民説明会における特徴的な意見や要望にはどのようなものがありましたか。また、再編・整備計画三次案の策定見直しなどの意見にはどのようなものがありましたか。  二つに、同窓会やPTAなどへの説明も希望があれば随時行うとのことでしたが、その開催状況と、そこで出された主な意見等はいかがだったでしょうか。  三つに、この再編・整備計画が決定し、実現する時期は2030年頃として進められているところですが、その時点で入学する現在の小学校3年生以下の保護者等への周知等はどのように取り組んでこられましたか。
     四つに、先に申し述べた千曲市長の要望にあったように、市町村ごとの人口規模に見合う高校、千曲市には最低二つの高校が必要との必要性を訴える要望をどのように受け止めていますか。  五つに、旧第4通学区の再編統合理由のうち松代高校普通科を配置する理由について2点伺います。  一つ目の理由を、鉄道沿線ばかりに偏って配置されないように通学区内の地域バランスを考慮したとしていますが、通学経路や通学時間、通学費などの問題が多くあると思います。どのように考えておられますか。  二つ目の理由を、千曲市には規模の大きさを生かした高校が存立していることとしていますが、当該高校に千曲市から多くの生徒が通学しているわけではありません。市町村ごとの通学者の内訳も含め、改めてその理由、根拠を伺います。  六つに、住民説明会等で使用したスライドの末尾に記載されていた「なお、計画そのものの変更等は現在のところ考えておりません。」との文言を、継続して開催している説明会の途中から削除した経緯と理由について伺います。  七つに、今後、高校再編・整備計画三次案の決定段階へと進んでいくものと理解していますが、今後の県議会との関わりや懇話会の設定時期など、スケジュール感を含め、これからの進め方を伺います。  最後に、前任の原山教育長時から取り組んでこられた「高校改革~夢に挑戦する学び~」再編・整備計画三次案の検討がこの間進められてきましたが、知事は、4選出馬に当たり公表した121の約束で、「高校再編を新しい信州教育を確立する大きな契機とするため、大胆な高校改革に教育委員会とともに取り組みます。」として、高校再編に意欲的に触れておられます。今回の再編計画の策定に向け、どのように関わり、意見表明等をしてきたのでしょうか。また、今後の高校再編の在り方についてどのようにお考えか、御所見を知事にお伺いします。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君) 高校再編・整備計画三次案に関わって御質問を頂戴しました。順次お答え申し上げます。  まず、住民説明会での特徴的な意見、要望や策定見直しの意見についてのお尋ねでございます。  再編・整備計画三次案に係る住民説明会において、様々な御意見、御要望をいただきました。特徴的なものを挙げますと、高校再編は、丁寧に進めることは必要だが、少子化が急速に進行しているので早期の実現に期待する。学校は子供たちのものなので生徒ファーストの議論を要望する。新校の設置場所は交通の利便性の高い場所にしてほしい。総合技術高校における他学科連携の学びに期待するなどがございました。  また、策定見直しなどの御意見としては、統合計画の枠組みや対象校について見直してほしい。総合技術高校に複数のキャンパスがあってもよいのではないか。定時制専門学科を普通科へ転換することに反対などがございました。  次に、同窓会等への説明の開催状況と主な意見等についてでございます。  42回開催した住民説明会以外に同窓会からの要望に応じて個別に行った説明の回数は、本日現在延べ10回、対象校が所在する自治体関係者への説明は延べ15回行っておりまして、本日以降も計画しているところでございます。  これらの説明の際に寄せられた御意見や御要望は、旧通学区や再編対象校によって異なりますが、例えば、地域内の高校について統合する理由や統合しない理由を詳しく聞かせてほしい。通学の利便性などを考慮したかなどの質問のほか、キャンパス校として残せないかなどがございました。また、計画が成案になった後に統合校ごとに設置する新校再編実施計画懇話会の構成員に対する要望や統合校の設置学科など学びに対する要望も寄せられました。  これらの機会を通して、住民説明会では説明できなかったことも含めて、関係者の皆様方の御質問、御要望に対して一つ一つ丁寧にお答えすることで理解を深めていただいたと考えているところでございます。  続いて、現在の小学校3年生以下の保護者等への周知等についてお答えいたします。  統合新校への入学が想定される小学校の保護者への説明は重要であると考えており、7月から9月に開催した住民説明会については、対象となる地域の市町村教育委員会を通じて全ての小学校に案内をさせていただきました。  加えて、仕事や子育て等で住民説明会に参加できない小学生の保護者の方にも再編・整備計画について御理解いただくため、住民説明会で使用した説明動画をウェブ上で視聴できるようにし、市町村教育委員会を通じて小学校に通知いたしました。  また、説明動画の視聴画面から直接ウェブ上でアンケートに答えられるようにするなどの工夫もいたしました。アンケートの記入は10月末で締め切っておりますが、動画は引き続き視聴できるようになっております。昨日現在動画の再生回数は6,500回を超えており、一定の周知が図られているものと考えております。  市町村の人口規模に見合う高校の必要性を訴える要望についてでございます。  私立高校を含め、市町村ごとの人口規模に見合う高校の必要性を求める意見があることは承知しております。三次案を含む再編・整備計画の策定に当たっては、進学を希望する子供たちの視点を大切にして、地理的条件や通学の利便性の観点から、実質的な生活・通学圏域である旧12通学区を基本に、現行の4通学区や県全体の校種ごとの配置も考慮いたしました。  一方、現在高校が所在している市町村からできるだけ高校の学びをなくさないということも原則にし、再編・整備計画案をお示ししたところでございます。  次に、松代高校への通学経路、通学時間、通学費の問題等についてでございます。  再編・整備計画三次案の策定に当たりましては、旧第4通学区内の地域バランスを考慮する中で、複数設置する予定の普通科については、鉄道沿線以外の地域への配置が必要と判断いたしました。また、再編後、生徒の居住地や学校の配置、生徒の進学希望等により通学の負担が増える生徒も減る生徒も生じる中にあって、旧第4通学区の生徒の通学への負担を全体的に見て最小限とすることも考慮し、松代高校の普通科を含む高校の配置案をお示ししたところでございます。  千曲市に大規模校が存立していることが松代高校普通科を配置する理由になっていることについてでございます。  千曲市内の大規模校である屋代高校には、本年5月1日現在、835名が在籍しております。市町村ごとの内訳は、千曲市が151人、長野市が551人、上田市48人、坂城町11人、佐久市11人、小諸市10人などとなっております。また、本年3月の千曲市内の四つの中学校の卒業生438人のうち9.4%に当たる41人が屋代高校に進学しており、これは篠ノ井高校の66人に次ぐ数になっています。  このように、生徒は、市町村内のみならず、通学可能な範囲を中心にして主体的に高校を選んでいるため、再編・整備計画の策定に当たっては、先ほど申し上げたとおり、旧通学区を基本に配置を検討いたしました。旧第4通学区全体を見たときに、鉄道沿線外にも高校を配置して学びを保障すること、千曲市には規模の大きさを生かした普通高校が存立することから、松代高校を普通科高校として配置することが適切であると判断したものでございます。  住民説明会における説明スライドの文言修正についてでございます。  再編・整備計画三次案に係る住民説明会においては、7月下旬から8月6日までに開催した安曇野市、千曲市、大町市、諏訪郡富士見町会場で、延べ6回、「計画そのものの変更等は現在のところ考えておりません。」との文言を記載したスライド配付資料を用いておりました。  再編・整備計画案は、いずれも旧通学区ごとに設置した高校の将来像を考える地域の協議会からの意見提案を踏まえ、県教育委員会として責任を持って具体的な校名を挙げ、新校の校種等を示したものでございます。このことについて御理解をいただいた上で具体的な御意見をいただきたいという考えの下に、先ほど申し上げましたような文言を用いたものでございます。しかしながら、このことにより、それでは説明会の意味がないのではないかといった御指摘や御意見を数多くいただくこととなりました。案はあくまでも案であり、様々なお立場の方々から制限を設けず御意見をいただくという説明会の趣旨にそぐわないものであるため、この文言を削除することとし、8月20日の大町市会場以降の延べ36回の説明会ではこの文言のないスライドやアナウンスで説明をさせていただいたところでございます。  今後の県議会の関わりやスケジュール感についてでございます。  再編・整備計画三次案につきましては、現在、確定に向け、それぞれの地域の関係者等に説明し、御理解をいただくべく取り組んでおりますが、その状況を踏まえつつ、県教育委員会として案を確定する予定でございます。案を確定した後は、統合新校ごとに地域の代表の皆様方により構成する新校再編実施計画懇話会を開催し、新校の学びのイメージや学校像などについて議論を行ってまいります。  懇話会での議論を踏まえ、新校の学びのイメージ、募集開始年度、活用する校地や校舎、設置課程や学科及び想定する募集学級数等について県教育委員会として再編実施基本計画を決定し、県議会の統合への同意をいただくこととしております。議会の同意を得た後は、統合新校の校名や統合の方法等細部にわたる具体的な事項について引き続き懇話会で議論を重ね、開校の準備を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には高校再編への関わりと今後の在り方という御質問をいただきました。  執行機関として教育委員会と私は独立した存在でありますので、教育長としっかり連携しながら対応しなければいけないというふうに思っています。高校再編・整備計画三次案については、これは、教育委員会が主体となり策定をしてきたところであります。一方で、この高校改革は、御質問にもありましたように、長野県の教育を組み立て直す大変大きなチャンスだというふうに思っています。そういう意味で、これは、子供たちのための改革であると同時に、私に寄せられている御意見は、これからの産業発展や、先ほど来議論がある若者の定着や地域の発展に密接不可分な問題だというふうに考えています。  予算提案権は私の権限でありますので、そういう意味では、今後の具体化に当たって私も責任を持って関与していかなければいけない。私は県民の皆様方の代表の立場でもありますので、そういう観点で関わっていきたいと思います。こうした点は県議会の皆様方も同じではないかというふうに思います。  さらに、特色ある高校をつくっていく必要があるのではないかというふうに私は思っていますので、ここでも何度か申し上げているように、全国募集の高校をつくってはどうかというような投げかけや、地域と連携した中山間地の学校、小規模校ほど魅力づくりをしやすい部分があると思いますので、特色をもっと出せないのかという話。また、学科の在り方も、情報科のようなものの新設等も含めて検討する必要があるのではないかといったような問題意識を投げかけて教育委員会と検討しているという状況であります。  この再編自体は学校と学校をくっつけるという話でありますが、これを大きな高校改革にしていかなければいけないというのが私の思いでもありますし、また、大きな予算を投入するのであれば、県民の皆様方に対する説明責任ということも県知事としてしっかり果たしていかなければいけないというふうに思っておりますので、そういう観点でこの高校改革に関わっていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔23番荒井武志君登壇〕 ◆23番(荒井武志 君) 答弁をいただきました。  先ほど教育長から、千曲市には規模の大きさを生かした高校が存立していることについて御答弁をいただいたところでありますが、千曲市から通っている生徒はごく少ないという、そういう数字も表明いただいたところでありまして、それらも併せてしっかり御検討いただきたいとお願いしたいと思います。  これから高校再編・整備計画三次案の決定、その後の検討に向かっていくわけでありますが、県民の声をしっかり受け止め、県民と同じ目線で進めていただくよう改めて要望し、一切の質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君) この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時43分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(髙島陽子 君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  大畑俊隆議員。       〔20番大畑俊隆君登壇〕 ◆20番(大畑俊隆 君) 木曽郡選出、自由民主党県議団、大畑俊隆でございます。  それでは、通告に従いまして順次質問をいたします。  私は、1期中における一般質問において、森林・林業に関わる様々な質問をしてまいりました。それは、特に、長野県が森林県から林業県になるために、林業人材の育成確保、サプライチェーンの確立、スマート林業による効率化された林業、そして治山対策等々の課題及びその解決に向けた質問でありました。また、知事も、森林県から林業県へと幾度となくその決意を述べられてきました。  では、その長野県の目指すべき林業県とは何かであります。  本県は全国第3位の森林面積を有し、戦後植林したヒノキ、カラマツが林齢50年以上と成長して伐期を迎えてきており、豊富な資源を有する民有林を森林の保全や資源の循環利用に配慮しながら県が推進役となって主伐が行われ、素材生産量を増大させ、その材が市場に出され、相場価格で取引され、製材品として建築用材、土木建設資材、梱包用材等としてそれぞれ出荷されていく。この川上から川下への流通過程において、付加価値の高い製材品、集成材品や6次化された製品等を供給することにより稼げる林業を実現し、森林県から林業県への転換を行うことが今後の県の大きな役割であると考えます。  また、関係者の参画の下で県産材のサプライチェーンを構築し、脱炭素社会の実現に向けて林業が果たす役割はより一層重要となり、まさに今後は林業、林産材の収益向上を図り、産業としての位置づけを明確にし、推進していくときと考えます。  また、昨年は、中国、北米などでの需要拡大、輸送コストの上昇により世界的に木材価格が高騰し、今年はロシアのウクライナ侵攻によりロシア材の輸入がストップとなり、第3次ウッドショックが発生したことにより国産材への需要が一気に高まってきました。このタイミングを逃さず、知恵と実効性を持って、輸入材に代わり市場のニーズに応える様々な県産材を市場に供給することも重要になってきています。  そこで、森林県から林業県へと転換するため、まず森林整備の実態を把握しながら、長野県の行ってきた15年間の長野県森林づくり県民税の検証とともに、今後市場の需要に見合う木材を安定供給していくための主伐・再造林の在り方及び森林税の方向性も同時に考えていきたいと思います。  現在進めている森林づくり県民税事業は、第3期の平成30年から令和4年までの5か年の最終年度を迎えており、第1期、2期は里山整備として間伐を主体に事業を進め、間伐材を搬出してその活用を推進していくための支援を行い、第3期は、間伐に加え、地域住民による里山の管理、利用といった新しい取組を開始し、その税の使途を広げて幅広く森林づくりを進めてきています。  これまで15年の森林税を活用した事業については、人工林面積全国第3位である県内民有林の間伐を主に進めてきており、木の成長を促し、その税の使途としては一定の成果を上げてきました。第3期が終了する森林づくり県民税を継続させ、県民の皆様の理解を得ながら第4期としてさらに事業を進めていくためには、しっかりとした事業継続の根拠を示していかなければなりません。  そこで、県は、この15年間の長野県森林づくり県民税約100億円が長野県の民有林である里山整備等に主に充てられてきた中で、民有林の整備が進められてきたことをどのように評価しているのか。また、県民にとっての有益性を含め、15年間の中で森林税が使われたことの意義について林務部長にお伺いします。  先般、長野県森林づくり県民税に関する基本方針が示され、今後の森林づくりに向けての提案と県が今後推進する取組の方向性が示されました。  まず、民有林、人工林の齢級構成の他県との比較の中で、長野県の50年を超える森林比率は他県と比べると高く、約69%を占め、豊富な森林資源の成熟期、いわゆる主伐期が到来してきています。  一方、長野県以外の素材生産量が高い道県では、再造林も着実に計画的に進められてきており、森林の若返りを図ってきています。この点において、長野県の主伐・再造林事業の遅れという課題が浮き彫りになってきています。  林業の基本は、切って、植えて、育てる、そして利用する、このサイクルを健全に循環させていくことにあり、適正な時期に主伐し植栽することで、若い森林から成熟した森林まで持続的な林業活動が可能な資源構成にしていくことも重要な点であります。  その意味では、このほど、森林づくり県民税の基本方針で森林の若返り促進を掲げ、県として主伐・再造林の政策のかじを切ることは、林業県の飛躍のために時宜を得た取組であり、その政策には期待するとともに、評価するところであります。  県は、この主伐・再造林を進めるため、民有林人工林33万5,000ヘクタールのうち地形平均斜度30度以下や道路からの距離200メートル以内などの条件から、約10万ヘクタールを林業経営に適した森林に設定し、計画的な主伐を行い、10年後には毎年1,250ヘクタールの再造林を実施していくことを示し、将来にわたって木材生産が可能になるような森林づくりに取り組むといった具体的かつ積極的な方向性が出されています。  また、森林づくり県民税活用事業案5か年分が既に示され、事業費の総額を68.8億円とし、うち概算の森林税総額は5か年で34.4億円としています。また、その内訳において、再造林の加速化を図るため、再造林面積を5年間でおおむね2,900ヘクタール、概算事業費37.7億円のうち森林税をおおむね11.3億円充てるとしています。  そこで、主伐・再造林を進める観点から、以下、順次林務部長に質問をいたします。  まず、県内では主伐が既に本格的に進んでいる地域も見られますが、主伐・再造林を全県的に広めていくためには何が必要で、どのような計画で取り組んでいくのか、今後の見通しについて伺います。  また、今後着実な再造林を進めていくためには苗木の確保が必要になるが、この見通しはいかがか。  次に、主伐・再造林が行われる林業経営に適した森林を設定するに当たり、民有林人工林33万5,000ヘクタールのうち市町村森林整備計画の特に効率的な施業が可能な森林として10万ヘクタールを設定することとしていますが、森林税の公平性の観点から地域に偏りは生じないのか。  次に、主伐の推進により、建築用材等に利用可能な木材の生産増大は、需要側の川中、川下の事業者からの期待も大きく、さらに、各森林組合、林業事業体も安定的な事業量の確保につながることを期待されていますが、今後各森林組合や林業事業者が積極的に主伐・再造林を進めていくに当たり、森林づくり県民税を活用した事業についてはできるだけ活用しやすい制度であるべきと考えるが、いかがか。  主伐・再造林にはかなりの人手がかかると見込まれ、さらに林業県へと飛躍するためには、若い世代を中心とする多様な人材が林業に参入し、定着することで、産業として醸成されていくことが林業界にとってもまさに重要な課題であり、大きな取組となってきています。  そこで、今後の林業従事者の確保育成の観点から、以下、林務部長に質問いたします。  まず、林業従事者が1,500人を割り、特に植栽や下刈り等を担う保育従事者の減少が顕著な中で、再造林後に夏場に集中する下刈り作業にどのように対応するのか。  また、個人事業者等の小規模で地域の需要に柔軟な対応ができる事業者についても、林業の希少な担い手でありながら、従来の支援策が手薄なこともあり、意欲があっても高額な作業機械等の購入が厳しいなどの課題を抱えているため、こうした支援に森林税を活用していくことも人材確保につながると考えます。  そこで、こうした小規模事業者等の多様な林業の担い手については、基本方針において、5か年で約1億円かけて新規就業者200人を定着させていこうとしていますが、どのような施策で小規模の事業者を支援し、人材確保対策を進めていくのか。  これに加えて、今後、林業の中核的な担い手も含め、林業従事者を安定的に確保していくため、新規就業者の確保が極めて重要となるが、林業への新規就業者の動向と今後の対策はどのように考えているのかお伺いいたします。  さらに、スマート林業等の先端技術の活用や機械化等を積極的に推し進め、若い世代の志向に沿った職業に変革していくこと、地球温暖化やSDGsなど現代社会における課題解決に当たって林業が重要な役割を担っていることなど、林業への理解や認知度を高め、林業を目指す人材の裾野を広げていくことは、今後重要な林業就業人口の増加につながっていくと考えます。そこで、若者が林業への就業を志すために、林業のイメージの向上と裾野の拡大に向けてどのような対策を講じていくのか。  さらに、現在、将来の林業従事者となるための教育機関として林業大学校及び数校の高校がありますが、まずは今後必要不可欠となるドローン操作の技術習得を授業カリキュラムに取り入れ、資格を取得することは、若者にとって有益であるとともに、先進的な技術習得は若者を引きつける魅力があると考えます。よって、林業大学校及び林業関連学科のある高校の学生がドローン操作をできる環境を整備することが有効と考えますが、いかがか。以上、林務部長に伺います。  森林県から林業県へということで、今後も森林づくり県民税の継続を求めていく中で、長野県の森林が主伐期を迎え、主伐・再造林にかじを切っていくことがいかに長野県の林業を活力あるものにしていくことにつながっていくかという点からも、県民からいただく貴重な税を今後も継続して事業活動の財源とし、県民の皆さんにとっては、山が若返ることによるCO2の吸収の増大による環境問題解決への貢献、防災・減災の強化、木材産業構築による雇用増大という点からも有益であり、信州の強みである県土8割を占める森林を今後もしっかり守り抜くためにも重要な税となっていくと考えます。  これまで、森林税の取組に関する重要性など様々述べてまいりました。加えて、森林税は超過課税であることから、その使途をしっかりチェックしていくことも肝要であると考えます。そこで、こういった点も踏まえて、再度県民から森林づくり県民税をいただき、森林の若返りを進めていくためにも、主伐・再造林の取組を進めることについて知事の見解をお伺いいたします。  続いて、森林環境譲与税についてでありますが、県は、森林づくりを効果的に行っていくために、森林税と森林環境譲与税の使途整理を行い、森林環境譲与税については、主に市町村が主体となって、これまで森林所有者による手入れがされてこなかった森林管理を持続的に進めることに活用するものとしました。長野県のホームページにおいて各市町村に配分された譲与税の状況が確認できますが、その内容を見ると、やはり森林の多い地域においては積極的に譲与税が使われている市町村がある一方で、基金の積み上げを行っている市町村もあります。  そこで、各市町村の森林環境譲与税の活用は各市町村が主体となって取り組むべきところですが、県として今後主伐・再造林を進めていくためにも、各市町村の森林環境譲与税の使途はどうあるべきかお伺いいたします。  また、森林環境譲与税は、再来年には、森林環境税としてその財源は600円億円もの規模となり、配分の改善もされようとしていますが、県にも同様に森林環境譲与税が配分されていることから、森林環境譲与税の活用に当たっては、77市町村としっかり連携を取って取り組んでいかなければならないと考えるが、いかがか。  また、県産材利用拡大の観点から、現在県へ配分されている森林環境譲与税を活用して、県産材活用加速化推進事業を新たに事業化し、JAS認定製品の供給拡大、ウッドチェンジの普及促進等の支援制度が創設されたところであり、その成果に期待するところでありますが、事業の実施状況と県として期待する効果について伺います。  また、JAS認定工場として認可され、各地域で核となっている工場ができた場合に、来る地域木材産業のステップアップ策として、例えばJAS工場を核とした水平連携体制づくりへの支援などが必要と考えますが、所見を伺います。  最後に、我が木曽地域の課題として、主要産業である林業、木材産業をいかに振興していくかという中で、木材搬出のための高性能機械や流通部門の市場関連機械類、製材工場の製材機械等の導入支援の充実を求める声が大きく聞こえてきますが、県として国に対して施策の拡充等の働きかけを行う考えはあるのか。また、森林環境譲与税などの多様な財源を活用したさらなる支援策の拡充を求めたいが、いかがか。以上、林務部長にお伺いいたします。       〔林務部長吉沢正君登壇〕 ◎林務部長(吉沢正 君) 森林づくり県民税などに関連して様々な観点から御質問をいただきました。順次お答えを申し上げます。  まず、森林づくり県民税によるこれまでの評価と意義についてですが、第3期までの15年間において主に取り組んできた里山整備は約3万4,800ヘクタールの実績となる見込みであり、所有が小規模で分散していることにより国庫補助事業では十分に対応できなかった里山における間伐等を集中的に実施することができました。  また、第3期では、信州やまほいくのフィールド整備や観光地の景観整備といった幅広い森林の利活用の取組に着手し、教育、観光といった森林に関する多様な県民ニーズに応えられたことに加え、ライフライン対策や河畔林整備などの危険木の除去等の取組が進み、地域から寄せられていた要望に一定程度お応えできたものと考えております。  さらに、地域主体で里山を利活用する里山整備利用地域の認定が105地域となり、面積では2万ヘクタールを超えるなど、県内各地で里山と人とのつながりを再構築する新たな取組の輪が広がった点は税を活用した取組の大きな意義の一つとして挙げられると考えております。  次に、主伐・再造林に関して4点お答えいたします。  1点目、取組を全県的に広げるための方策などについてですが、主伐・再造林の実施に当たりましては、対象地となる林業経営に適した森林のゾーニングや森林所有者に係る再造林経費の負担軽減など意欲の促進、施業に当たる林業事業体の理解や初期保育の担い手確保、また優良な苗木の確保や災害防止や景観等に配慮した施業に関するガイドラインの策定といった運用面における各分野での対応が必要と考えています。
     そこで、これらの対応について整理をし、森林組合等の事業者との協議や所有者への普及啓発を行うとともに、市町村と連携して事業者からの予定箇所を取りまとめながら施業を促進し、5年後に年間1,000ヘクタールの再造林を目指し、計画的、段階的に進捗を図ってまいります。  2点目、苗木生産の見通しについてです。  令和9年度に1,000ヘクタールの再造林を行うためには、国有林などの需要も含めて、令和4年度の苗木生産量210万本の約4割増である年間290万本の生産が必要と試算しております。  苗木は、生産に二、三年を要し、数年先の需要を見越して準備する必要があることから、県では、山林種苗需給協議会を開催し、苗木生産者と苗木を利用する国有林や森林組合連合会等における需給調整を行うとともに、今後の苗木の増産について生産者に依頼をしております。  加えて、遺伝的に優れた種子の確保や、生産性が高く品質の良い苗木生産も重要であることから、県営の林業用苗木採種園の整備や苗木生産者の設備への支援を行っています。これまでの協議状況等から、必要となる苗木の確保は可能と考えていますが、引き続き関係者と調整を行い、段階的に増加が見込まれる苗木の需要に適切に対応してまいります。  3点目、施業地域の偏りについてですが、特に効率的な施業が可能な森林の区域設定に当たっては、県が森林GISを用いて斜度や路網からの距離等の条件により作成した対象人工林約10万ヘクタールの参考データを全市町村に配付しており、これらのデータと森林の現況を踏まえて、現在、市町村において区域設定が進められています。地域により森林資源の状況や地理条件が異なるため、市町村ごとの区域設定の面積には差が生じますが、本県の森林は全般的に伐期を迎えており、全市町村に対象地がありますので、地域の関係者の理解の下、主伐・再造林が計画的に進むように取り組んでまいります。  4点目は、活用しやすい制度についてです。森林づくり県民税を活用して行う森林整備事業については、これまでも事業体等への説明会を開催しており、補助制度や申請書類に関して意見交換を行ってきています。  こうした場を活用して再造林の支援制度についても意見をお聞きし、事業の適正な執行についても留意しながら制度設計を行うとともに、GPSやドローン等リモートセンシング技術を活用した現場管理の労力軽減や電子データの活用による事務負担の軽減など、技術面や事務手続面での事業者支援についても検討してまいります。  続いて、林業従事者の確保育成に関して5点お答えいたします。  1点目、下刈り作業への対応についてです。夏場に集中する下刈り作業に必要な人員の確保については、保育従事者の確保に課題のある事業者と安定的な事業量の確保が必要な小規模事業者とのマッチングが効果的であることから、現在実施している圏域を超えた事業者間のマッチング支援の強化を図ってまいります。  さらに、通年雇用される従事者だけでなく、より多くの人が林業に関わる仕組みづくりも重要なことから、今年度実施している保育従事者の新規雇用に係る奨励金などの対策に加え、森林づくり県民税も活用した他産業との兼業や季節的な雇用、一時的な従事など、多様な担い手確保に向けた取組を進めてまいります。  これらの取組に加え、成長の早いエリートツリーの植栽による下刈り回数の抑制や、省力化に資する下刈り機械の導入等新たな技術の普及にも取り組んでまいります。  2点目、小規模事業者への支援についてですが、小規模事業者は、地域林業の様々なニーズへの柔軟な対応や、ただいま申し上げた中核的な担い手と連携した下刈り等の保育作業など、これからの林業を支える存在でありながら、これまでは支援策が十分でなかったと認識しています。このため、森林づくり県民税を活用して、小規模事業者における安全装備、福利厚生などの就業環境の向上や、新規就業者のチェーンソー等機械類の購入への支援などについて検討し、兼業や季節的雇用とも併せ、人材の確保を推進してまいります。  3点目は、新規就業者の動向と今後の対策についてです。  林業の新規就業者は、ここ数年、事業者全体で100人前後で推移しており、特徴としては、転職による就業が多くを占め、また、全体の約3割が県外からの移住を伴う就業となっています。  これまでも、関係団体と連携して、県内外でのセミナーや就業相談、現場見学会の開催、また、共同就職説明会を通じた就業希望者と林業事業体とのマッチング支援を実施してきておりますが、これらの取組に加え、就業後のイメージができるキャリアプランの作成や、転職、移住による就業者への支援など、林業への新規参入者全体の増加につながる新たな施策について検討しているところです。  4点目、林業のイメージ向上と裾野の拡大についてです。  林業のイメージ向上は、将来の新規就業者の獲得だけでなく、林業就業者が誇りを持って働くことにもつながる重要な取組と認識しているため、主伐による生産量の増加に伴う所得の向上や安全対策の強化による安全で稼げる林業への転換に向けた取組を進めてまいります。  また、裾野の拡大については、これまでも学校林等における森林環境教育や高校生の林業体験、林業関連イベント等に取り組んでいるところですが、森林づくり県民税等を活用した森林環境教育の対象拡大や職業を意識し始める中学生からの林業体験、若い世代に関心の高いVRシミュレーター等新たな技術を用いたイベントといった各年代に応じた学びや体験の拡充について検討してまいります。  人材育成の5点目、学校におけるドローンの操作環境の整備についてです。  ドローンについては、林業の現場においても、森林資源の把握はもとより、資材運搬に活用されるなど導入が進んでいます。  現在、林業大学校においても活用に係る特別講座を実施しているところですが、学生の関心も高いことから、今後カリキュラムの見直しを含め、ドローン操作の授業の充実を検討してまいります。  また、高校生については、林業大学校のオープンキャンパス等での操作体験を実施していますが、若い人材に関心を持っていただくためにも、地域の林業研究グループなどが取り組む体験研修等において林業関連学科の高校生も対象とした実習を推進してまいります。  続いて、市町村における森林環境譲与税の使途や県と市町村との連携についてです。  主伐・再造林が計画される森林経営に適した森林以外にも手入れの必要な森林がございます。市町村に譲与される森林環境譲与税については、そうした森林の管理を、所有者に代わり市町村が主体となって進めるために主に活用されるものであり、森林所有者の意向調査や作業道を含む森林の整備などに活用され、これまで手入れのされてこなかった森林の管理が進むことによりまして、県土の保全や水源の涵養など公益的な機能の発揮につながっていくものと考えています。  また、県に譲与される森林環境譲与税については、市町村支援への活用を主な目的としており、森林経営管理制度が効果的に推進されるよう、木曽地域等で取り組まれているような広域連携の支援や事務処理マニュアルの作成及び研修の実施、あるいは森林GISの情報基盤の整備などに活用しています。引き続き市町村との連携の下、地域の課題を把握しながら支援に努めてまいります。  次に、県産材活用加速化推進事業の実施状況と効果についてです。  同事業のうち、JAS認定製材品の供給拡大につきましては、現在、木曽地域の製材工場においてヒノキ構造材等のJAS取得に向けた強度試験等を支援しておりまして、年度内の認証取得に向けて手続が進められております。  また、生活用品などを木製品に転換するウッドチェンジ普及促進については、今年度20事業者からの提案のうち、現在新製品の開発や新たな販路開拓など13件の取組が進められており、年度末までには具体的な開発製品等の公表を予定しています。これらの取組を通じ、JAS認証取得による国内の製材品市場における流通性の向上や競争力の強化、また、新たな製品の生産や販路拡大による県産材の需要拡大に期待しております。  また、JAS認定工場を核とした水平連携体制づくり等についてですが、本県の製材工場は小規模、分散的に立地していることから、ただいま申し上げた製品の競争力や市場流通性の向上のためには、製材工場間で同一規格、同一品質の製品を共同で出荷できるようないわゆる水平連携体制づくりが重要であると考えております。  そうしたことから、新たにJAS認証取得を進めている製材工場をはじめ、既に取得している製材・集成材工場を核とした水平連携体制、さらには、地域の木造住宅産業と製材工場や林業事業体による垂直連携の仕組みづくりを進めるための施策について検討しているところです。  最後に、高性能林業機械や製材機械等の導入支援の充実についてです。  これら機械類の導入に関しましては、去る11月10日に林野庁を訪問し、国の支援施策の拡充について要望を行ったところです。また、今年度6月補正予算では、調達に時間を要するとされる高性能林業機械に関し、県の独自事業としてレンタル費用への助成を創出したところです。  機械の導入につきましては、国の補正予算や関連する支援事業の情報収集も行いつつ、必要な支援措置及び財源の確保に努めてまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には、森林づくり県民税に関して、今後県民の皆様方から税を頂戴し、取組を進めることについての見解という御質問をいただきました。  9月に基本方針案を公表した後、様々な場面で県民の皆様方の御意見をお伺いしてまいりました。主伐・再造林を含めた森林整備や林業人材確保の必要性について多くの方々から御意見をいただいてまいりました。  そうした中で、御質問にもありましたように、長野県は主伐期にかかっている森林が増えていますので、森林の若返りや、森林県として多くの皆様方に森や緑に親しんでいただくことができる環境づくりを進めていかなければいけないというふうに考えております。そのためには、今、価格高騰等で、県民の皆様方、事業者の皆様方の暮らし、産業活動が影響を受けている中ではありますけれども、ぜひこの森林づくり県民税を延長させていただいて、県民全体の力で森林づくりを支えていただきたいというふうに判断し、今回延長に関する条例改正案を御提案させていただいたところでございます。  もとより超過課税ということでございますので、その使途についても十分御理解いただきながら、また、当然ではありますが、適正な執行を行っていくということが極めて重要だというふうに考えております。  そういう観点で、基本方針の中には、県として事業内容のチェックや実施後の評価検証を行い、みんなで支える森林づくり県民会議の御意見をいただいた上でその結果を公表していくということ、また、主伐をしていくことになりますので、防災や景観への配慮なども含む長野県主伐・再造林ガイドライン(仮称)を定めて、適正な主伐と確実な再造林に取り組んでいくことを明記させていただいたところでございます。また、広く親しめる里山整備など県民の皆様方が税の効果をできるだけ実感し、身近に感じていただくことができるように取り組んでいきたいと考えております。  本県においては、公益的な観点からも、この再造林を含めた森林整備が重要であるということを改めて税を御負担いただく県民の皆様方に御理解いただくとともに、私どもとしては、県民の皆様方の期待にしっかりと応えることができるように取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔20番大畑俊隆君登壇〕 ◆20番(大畑俊隆 君) 知事、そして林務部長に丁寧なお答えをいただきました。  今後、森林づくり県民税を継続し、主伐・再造林事業を推し進め、林業県としての役割を果たしていくことが重要であります。県民の皆様からの貴重な税でありますので、県民の皆様に森林づくり県民税の使途についてはしっかり明示し、県民にとって有益な税となるよう、そして森林県から林業県への転換を図るべくより一層効果的な事業の展開をお願いし、私の一切の質問を終了いたします。 ○副議長(髙島陽子 君) 次に、和田明子議員。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君) まず初めに、環境保全研究所安茂里庁舎についてお伺いしてまいります。  1948年に長野県衛生研究所としてスタートし、1968年3月に現在の安茂里庁舎が建設され、既に54年。衛生公害研究所、環境保全研究所と名称変更しながら、業務量も増え続けています。オウム真理教の使用した毒物をサリンと特定したことをはじめ、福島原発事故後には放射線測定器による分析、現在はコロナウイルスの検査やゲノム解析など、その調査研究は日々多様化しております。今後も、県民生活の全般にわたって安全を担保するために非常に重要な調査研究機能を有していると考えております。知事の認識を伺います。  安茂里庁舎は、築54年で老朽化していること、さらに、様々な機材が所狭しと置かれて、狭隘です。災害拠点施設としての耐震性は不足と指摘されております。環境保全研究所安茂里庁舎の対策について、私も委員会に所属するたび質問を重ねてきました。令和2年2月の委員会では、非常に老朽化し狭隘だということは事実。諏訪湖環境研究センター(仮称)の開設も検討している中で、近い将来環境保全研究所の組織の在り方の見直しが行われる、しなければならない状況と答弁をいただきました。  現在、諏訪湖環境研究センター(仮称)の設置が進んでいます。環境保全研究所の組織の在り方の見直しは、環境部、健康福祉部、総務部で検討されているものと思います。環境保全研究所の組織の見直しはどのように検討しているのか。また、周辺が住宅密集地であり、老朽化している安茂里庁舎の対策、改修は喫緊の課題だと思います。検討状況を知事に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 環境保全研究所安茂里庁舎についての認識と今後の在り方についてという御質問であります。  環保研の安茂里庁舎につきましては、安全、安心な生活環境と県民の健康を守るため、県行政を科学的見地から支える中核拠点として、環境・保健衛生行政において重要な役割を担っているというふうに考えております。  御指摘のとおり、安茂里庁舎は、本館が建築から54年、別館が48年経過しているということで、老朽化しております。大規模地震発生時に災害拠点施設として十分な機能を発揮できないという課題も抱えておりますので、移転や改修などこれまで建物の在り方を中心に検討してきたところであります。  その一方で、新型コロナの感染拡大を契機として衛生部門の役割が増大してきております。また、他方で、令和6年度には諏訪湖環境研究センター(仮称)に機能の一部を移管するなど、建物以外の組織の在り方についても検討していかなければいけないというふうに考えております。こうしたことから、これまでの検討も踏まえながら、組織の在り方、建物の在り方を一体として議論し、できるだけ早く方向づけをしていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君) 大変重要な施設だということ、そして機能も持っているということを御認識であれば、なぜ改修が進まないのかも含めて一刻も早く結論を導き出してほしいと思います。  続いて、会計年度任用職員について伺ってまいります。  2020年4月から、正規と非正規の公務員の格差の是正を図り、自治体で働く非正規公務員の待遇改善を進めるために会計年度任用職員制度が始まりました。昨年も本会議でお聞きしておりますが、今議会でも質問いたします。  全職員数に対する会計年度任用職員の割合は、昨年度は知事部局で23.7%、教育委員会では9.4%という状況でした。今年度においても昨年度とほぼ同様で、知事部局では23.6%で4人に1人に上っております。教育委員会は9.9%と昨年よりも若干増えて約1割になっております。  会計年度任用職員の男女比はどのような状況か。知事部局については総務部長、教育委員会は教育長に伺います。  会計年度任用職員制度の運用開始から3年目を迎える2022年度末は、公募によらない再度の任用の上限回数を国に倣って2回とした自治体では、公募による雇い止め、いわゆる3年目の壁が危惧されています。会計年度ごとの雇用という不安定な状態に加え、公募による雇い止めが起きないようにしていただきたいと思いますが、本県の制度の運用状況を総務部長にお伺いいたします。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君) 会計年度任用職員について2点御質問をいただきました。  まず、男女比についてでございますが、令和4年4月1日現在の知事部局の会計年度任用職員男女比は、男性46.6%、女性53.4%でございます。  それから、会計年度任用職員制度の再度の任用に関する運用状況でございますが、本県の会計年度任用職員につきましては、採用における平等取扱いの原則と同一の職員が継続して業務を担うことによる円滑な業務執行の観点とのバランスを考慮する中で、原則として同一の業務に従事する場合は、公募によらず再度の任用を上限4回までとし、5年間は任用が可能としておりまして、国よりも長期間の運用が可能となる運用を行っております。  以上でございます。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君) 会計年度任用職員の男女比についてのお尋ねでございます。  令和4年4月1日現在の教育委員会の会計年度任用職員の男女比は、男性35.5%、女性64.5%でございます。  以上でございます。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君) 県には様々な相談業務があり、それぞれ資格取得をし、ケースが異なる多くの相談の経験を重ね、新たな法や制度の研修により高い専門性を持って県民生活を支える業務に就いている方々のほとんどが非正規の会計年度任用職員として頑張っておられます。  そこで、消費生活相談員についてお聞きしたいと思います。  消費生活相談員は、国家資格を有し、年々複雑化する問題に対して適切な助言や情報提供を行えるよう幅広い知識や消費者問題に関する法律知識が求められます。そして、消費生活センターで直接消費者からの相談を受ける、また、相談員の指導や養成にも当たるということで、県民に身近な場所で消費者トラブルの相談を受けることと併せて、県内の自治体で消費生活相談業務を行っている自治体のサポートも必要に応じて行うなどの役割を担っています。  また、消費者トラブルも、現在旧統一教会の被害者救済に関連した法案が審議されておりますが、これまでも、消費者相談に関連する新しい法律などを踏まえ、業務に当たるために研修に研修を重ねるなど頑張っていただいております。  高い専門性と経験を持った職員が継続して住民サービスに当たるなど、正規職員が担うべき専門性と持続性が求められる職種だと思います。正規職員にすることが県民サービスの向上につながると考えるが、いかがか。県民文化部長に伺います。  知事も御存じと思いますが、職場では会計年度任用職員なしには仕事が回らない、技術の継承のために雇用を継続してもらっているということをお聞きしております。正規と非正規の公務員の格差の是正を図り、自治体で働く非正規公務員の待遇改善を図るために2020年度から始まった会計年度任用職員制度は、一定の改善が図られ、全国的に危惧されているような公募による雇い止め、いわゆる3年目の壁については、県独自に期間の定めの対応を長期化しているというふうに総務部長からも御答弁がありました。  しかし、年度ごとに雇用の更新がされるということにおいては、不安定雇用であることは否めません。県行政の質とサービスを担保していると言える専門性の高い職員は、本来正規として採用すべきと考えます。知事に伺います。       〔県民文化部長山田明子君登壇〕 ◎県民文化部長(山田明子 君) 私には消費生活相談員を正規職員とすることについて御質問をいただきました。  県内4か所の消費生活センターには、現在15名の消費生活相談員を配置しております。相談員は、消費者安全法に基づきまして、国家資格である消費生活相談員資格試験に合格した者、またはこれと同等以上の専門的な知識、技術を有すると知事が認める者であるという必要がございます。  また、加えまして、議員から御指摘もいただきましたとおり、日々の業務の中におきましても、相談者に分かりやすく納得いただける助言を行うなど、高い対応能力を求められております。このため、処遇や任用期間等につきましては、一般事務に従事する会計年度任用職員に比べて特に配慮したものとしております。  現在、第3次長野県消費生活基本計画の策定と併せまして、県消費生活センターの集約と機能強化についても検討しております。この機能強化に当たりましては、相談体制の充実とともに、相談員の雇用形態につきましても検討を行い、県民サービスの向上につなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には専門性の高い職員の正規採用について御質問をいただきました。  先日の関東知事会議でも、ある県から地方公務員制度の柔軟化が必要ではないかという御提案があり、私も賛同したところでありますが、我々としては、現状では現行法制の中で運用していくということが強く求められているわけであります。  会計年度任用職員については、和田議員の御質問の中でも触れていただいたように、これは自治体によって身分の取扱いがばらばらということで、長い間臨時職員、非常勤職員は、非常に課題が多い中で制度改正が行われて制度化されたわけであります。  本県としても、これまで、期末手当の支給月数の引上げや休暇制度を拡充し、この会計年度任用職員制度を踏まえた処遇改善に当たってきているところであります。  一方で、非正規職員については、常時勤務を要する職は、従事する業務の性質に関する要件と勤務時間に関する要件いずれも満たすということが必要になってまいります。業務の性質については、相当の期間任用される職員を就けるべき業務であること、また、勤務時間については、フルタイム勤務とすべき標準的な業務の量があることが基本的な要件という形になります。そういう意味で、こうした要件に照らしながら引き続き適正な任用を行っていきたいと考えております。  以上です。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君) 消費生活相談員については、今後正規雇用に置き換わっていくということを期待しておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。  知事もおっしゃっていましたけれども、そもそもこれらの皆さんを採用する際に、募集の仕方がパートというふうに、正規雇用に置き換わる条件ではなく採用されているのではないかと思いますので、この点も再度確認をしていただければと思います。
     知事は、今議会の提案説明で、令和5年度当初予算編成に当たり、来年度の県財政は、価格高騰や海外経済などのリスク要因により県税収入の動向が定かでなく、社会保障関係費や県債残高の増加により県財政構造が一層硬直化することなどから、引き続き厳しい状況となることが見込まれますと言われ、「こうした状況の中、徹底した事務・事業見直しによる選択と集中の強化、それらを通じた組織のスリム化、職員数・総人件費の適正化などに取り組む」と述べておられます。  県職員の定数管理は、厳しい中、さらに職員の削減をするのか。その場合には、会計年度任用職員は職員定数管理の枠の外の人たちであり、給与は人件費ではないことで、正規から会計年度任用職員に置き換えられていくのではないかと危惧しております。  今までも自治体に総務省から総人件費の削減・定員管理計画が押しつけられ、全国的に1980年代の320万人から2020年には270万人へと職員削減がされました。その代わりに、調整弁のように置き換えられたのが自治体の非正規職員でした。とりわけ、2005年以降はすさまじく、2020年には非正規職員が69万人を超えました。この皆さんが官製ワーキングプアと社会問題化して、国は一定の待遇改善をする、こういうことになり、会計年度任用職員制度をスタートさせたことを指摘しておきたいと思います。  次に移ります。緊急小口資金などコロナ関連融資返済について健康福祉部長にお伺いいたします。  新型コロナウイルス感染拡大によって収入が減った人に対し生活資金を特例で貸し付ける緊急小口資金と総合支援資金は、期間の延長を行いながら今年9月に受付を終了しました。長野県では、緊急小口資金は令和2年3月から約1万3,000件近く、金額にして20億円を超えております。総合支援資金は1万5,000件を超え、76億円と、件数、金額とも大変大きくなっております。この間のコロナ禍による県民生活への打撃がいかに大きかったか、このことがこの件数、金額に表れております。  そして、いまだに苦境に立たされている方も多いことから、年明けから始まる返済について、国は住民税非課税世帯の償還を免除することになりました。そのためには申請が必要です。多くの方々が利用しています。免除対象の方々が漏れなく申請するための特別の手だてが必要と思います。  また、県独自の償還金補助を拡充されることになり、償還金の全額が免除されることは共産党県議団でも免除の拡充を求めていましたので、歓迎するものです。県の補助対象は、住民税所得割非課税相当の世帯ですが、国の住民税非課税世帯の償還免除と同じように申請漏れがないよう対応していただきたいと思います。早い方々は年明け令和5年1月から返済が始まります。具体的にどのように周知の手だてを取っているのかお伺いをいたします。  次に、緊急小口資金、総合支援資金について、国の償還免除の対象とならない住民税所得割非課税世帯相当の方に対しては、県独自で償還金に対する一部補助を実施するということになり、対象を拡大しますが、これらの国や県による制度の対象とならない返済免除の対象から外れる世帯についても、40年ぶりの急激な物価上昇など家計への負担は増すばかりであります。生活を立て直そうとしても、返済が生活苦に追い打ちをかけているのではないかと危惧されます。  特例貸付制度は、コロナ禍でスピード感をもって行われました。県内においても2万件以上の貸付けが行われました。一方で、こういう方々に貸し付ける際にも丁寧な相談支援が行われるのが常でありましたが、この特例貸付けはスピードを重視したため、そういう中で相談支援が追いついていないのではないか、こういうことが心配されております。  生活の状況によっては、生活保護なども含めた相談支援の体制を取って、今も生活苦、困窮にある立場の皆さんに対して丁寧に対応していく必要があると思います。まいさぽなどで相談支援を行っていただいていますが、県は具体的にどのような支援を行っているのか伺います。  総合支援貸付金の貸付けが終了した世帯等に対して自立支援金の支給がされてきたところでありますが、令和4年12月末が申請期限とされています。既に12月を迎え、申請期限が迫っています。自立支援金が本当は使える方々、必要な方々に周知が漏れてはいないでしょうか。申請を促しているのか伺います。  また、国に対して期限の延長を求めてほしいが、どうでしょうか。そういう点でも、もし国が無理であれば、県独自に支援策を行うことを検討されないか、併せて健康福祉部長に伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) 3点御質問をいただきました。  まず、緊急小口資金等特例貸付の償還金免除等の周知についての御質問でございます。  緊急小口資金等特例貸付に係る国の償還免除制度及び県独自の償還金に対する補助制度につきましては、貸付けの実施主体である県社会福祉協議会と連携いたしまして、今年6月と11月に来年1月からの償還対象世帯全てに個別の案内を送付しているところでございます。また、今後償還が予定されている世帯に対しましても順次制度を御案内することとしております。  そのほか、県では、チラシ、SNS等多様な手段によりまして幅広い周知に努めているほか、今年12月末で申請が終了する新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金の受給終了者など国や県の制度が適用される可能性が高いと考えられる世帯に個別に案内を送付することとしております。漏れなく申請いただけるようできるだけ幅広く情報提供してまいりたいと考えております。  次に、償還免除等の対象とならない世帯に対する支援についてでございます。  国や県の制度の対象とならない世帯が生活に困窮している状況が判明した場合は、貸付けの実施主体である県社会福祉協議会と市町村社会福祉協議会、さらにまいさぽが連携しながら、生活再建に向けまして個々の状況に配慮した償還の猶予や償還計画を無理のない金額に変更する少額返済等支援制度の案内や、電話、個別訪問等アウトリーチによる積極的な支援を行うこととしております。  今後も、関係機関と連携しながら、令和5年1月から始まる貸付けの返済が借受人の自立の妨げにならないよう丁寧な支援を行ってまいります。  次に、生活困窮者自立支援金の申請期限の周知でございます。  この新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金につきましては、貸付けの実施主体である県社会福祉協議会より、特例貸付けの利用世帯全てに、償還の案内と併せて制度についての案内を個別に送付し、周知を行ったところです。また、申請窓口である福祉事務所等において相談者に対して制度の案内と早期の申請を促しております。  なお、国への期限の延長の要請をしてはどうか、また、県独自の支援策はどうかという御質問でございますが、国では、申請者数が減少したことなどを受けて、自立支援金については12月末で終了し、今後は物価高騰対策として生活困窮者支援に取り組んでいくこととしております。県では、全国知事会等を通じて物価高騰の影響を受けやすい生活困窮者への支援について国に対して要望しているところでございます。  また、住民税所得割非課税世帯等に対しましては、先ほど来申し上げておりますとおり、緊急小口資金の償還金の全額免除、1世帯当たり3万円の支給など、県独自の新たな支援策を講じたところでございます。  今後とも国の対策を注視し、必要に応じて国に要望するとともに、県独自の支援策と併せ、まいさぽ等での丁寧な相談支援により生活にお困りの方々をしっかり支えてまいります。  以上でございます。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君) それぞれ御答弁いただきました。新型コロナウイルス感染症によって収入が激減して、特例貸付けを受けたその段階からまた一層深刻になっている方々もおられます。そういう点では償還が免除されることは本当によかったというふうに思いますけれども、この年の瀬、また来年以降もますます物価高騰になる中で、その枠を超えてしまっている方々の生活支援に対しても、伴走型、そしてアウトリーチしながら支援をしていただける体制を、県としてもまいさぽなどと連携して十分に取っていただき、また、この年末は、ワンストップでサービス、相談を受けていただける体制も整えていただくようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。 ○副議長(髙島陽子 君) 次に、小山仁志議員。       〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君) 人手不足は学校現場にも及んでいます。文部科学省が昨年度初めて実施し本年1月に公表した調査結果によりますと、昨年度の始業時点で2,558人の教員が計画どおり配置されていなかったことが明らかになりました。同調査で、本県は、小学校で2校2人、中学校で1校1人、特別支援学校で2校2人が配置されていなかったとのことであります。原因として指摘されているのが、団塊の世代の大量退職に伴う若返りによる育休や産休の増加や特別支援学級数の増加、病休者の増加などです。  この文科省の調査結果については、「最低でも」という注記があるように、原因とされる産休取得や病休者の状況は年間を通じて変動が生じるわけですが、教員不足の実態について現状の認識を伺います。  増加する休業・休職者を補充する代替教員の確保は非常に苦労されている実態があります。教員採用試験に不合格となり非常勤講師となった方に多くの学校から相談が持ちかけられたり、ひ孫世代を任されるような勤務をお願いするような例もあり、一人の講師を探し出すのにも一筋縄ではいきません。  一方で、代替教員をお願いされた方の中には、自らが断った場合の学校運営への影響に思いをめぐらせながら、善意の使命感によって受ける方もいらっしゃいます。また、予定された期日までに代替教員が決まらない場合、管理職をはじめとした学校内の既存教員で補充することになり、業務負担が上乗せされ、校内職務の遂行にも影響が生じます。そして、産休取得をされる方は、休みに入ってよいのだろうかと重い心苦しさを抱えざるを得ない状況が生じてしまいます。  教員配置に何とか持ちこたえているような実態は、教育の質の低下や、児童生徒や保護者との信頼関係構築にも支障が生じないか憂慮いたします。実態を総合的に把握しながらの教員不足に端を発する悪循環を断ち切っていくための対策は急務であると考えます。  まず、県の公立学校において、心身の不調等の影響により休職される教員の現状と近年の推移について伺います。  また、妊娠・出産休暇が増加している中で、現場において代替教員の確保に大きな負担、苦労が生じている状況を踏まえ、代替教員確保や登録者数を増やすための支援を県教育委員会が講じていくことが強く求められていると考えますが、県教育委員会の対応策について伺います。  憂慮される教員不足の状況と併せて見過ごしてはならないのは、教員の働き方改革をめぐる課題です。業務負担の軽減や働き方改革のための施策等も講じられ、数年にわたって指摘され続けている教員の働き方改革ですが、いまだに様々な課題を抱えています。  負担感となって押しかかる業務により、教員が子供と接する時間や訴えにしっかりと向き合う時間、授業への影響等、子供にしわ寄せが及ばないかと心配されます。単なる時間管理にとどまらずに、教員がどの業務にどのくらい割くか自律的に考え、不測の事態にも臨機応変に働くことができる自律性を重視した働き方改革が必要です。  本来やるべき仕事を自律的に精選できる働き方の環境づくりに向け、教育委員会ではどのように取り組むお考えなのか伺います。  さて、昨年度、不登校の児童生徒が急増したことが明らかになりました。全国の不登校児童生徒は、24万4,940人と前年度比24.9%の増加。本県におきましても、小中学生が4,707人、高校生は787人と過去最多を更新となりました。長期化するコロナ禍による家庭や学校における生活や環境の変化が子供に大きな影響を及ぼしていることが顕在化しています。  児童生徒が抱える境遇は様々であり、不登校の要因も、複合的な要因が絡み合いながら子供たちに迫ってきています。こうした児童生徒の状況に対し、教職員や学校現場の多忙化が指摘される中で、教員が、あるいは学校が、一人一人のSOSに寄り添い、親身になった対応や孤立化を防ぐ手だてを講じられているのか憂慮いたしますが、教育委員会の認識を伺います。  不登校児童生徒への対応については、学級担任の判断や支援のみに委ねるのではなく、他の教員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどの連携協力による組織的な支援体制を整えることが不可欠であると考えます。急増する不登校児童生徒の中で、チーム学校としての支援体制の構築の現状はどのような状況か。また、学校における組織的支援体制の構築、機能を高めるための教育委員会の取組について、以上、これまでの一切を教育長に伺います。  子供一人一人と向き合った最適な学びの保障のため、個々の状況に応じた適切な支援とともに、多様な学びの場、受皿の確保を図らなければなりません。教育委員会は、さきの9月定例会における答弁で、不登校特例校の設置をめぐり市町村との協議の場を設ける方針を示されていますが、民間のフリースクールなど個々の適性を踏まえた居場所や学びを確保していく取組も急務であると感じます。  多様な教育機会を提供しているフリースクール等とは、教育委員会や学校も相互に協力、補完し合うような連携を図っていくことも求められますし、学びの場としてフリースクールに対する支援も必要であると考えます。相互連携に対する教育委員会の対応策を教育長にお尋ねいたしますとともに、フリースクールに対する支援の充実と強化についての県の考えをこども若者局長に伺います。  学校に行くこと自体は大変ではないにしても教室に行くことが難しいケースや、児童生徒の個々の状況に応じた段階的な支援策を考えていくときに、学校における別室登校の役割が大きくなってきています。クラスの教室ではない保健室や図書室、空き教室が利用され、それぞれのペースで登下校し、自習をしたりして過ごされていることが多いそうです。  そして、せっかく通っているわけですから、別室教室においても安心して充実した時間を過ごしてほしいと考えるわけですが、学校現場においては、様々なやりくりの中で、その環境づくりにいそしまれていることが想像されます。別室教室の現状について県教育委員会ではどのように把握をされているのか、教育長に伺います。  そして、さきにも触れた学校現場の激務の中で、別室教室の子供たちへのサポート体制づくりにも大きな力が必要と感じますが、その支援に対する取組について、教育委員会の考えを教育長に伺います。  県では、未成年者の自殺死亡率が全国と比較しても高水準にある中で、第3次自殺対策推進計画において未成年者の自殺対策を重点施策に位置づけるとともに、2019年には「子どもの自殺ゼロ」を目指す戦略を策定、本年度は、戦略の計画期間が最終年となります。戦略では、ハイリスクの子供の把握、危機対応チームによる対応困難ケースへの個別支援、人材育成を重点施策に掲げ、取り組まれてきましたが、まず、本戦略の成果や課題等も踏まえ、どのように総括をされているのか。本県における未成年者の自殺の現状とともに健康福祉部長に伺います。  また、コロナ禍とともに、急速な社会の変化によって子供たちが生きる環境も大きな変化を余儀なくされている中で、次期戦略の策定に当たっての背景にはどのような変化が生じていると認識をされているでしょうか。生きる支援という観点からの部局横断的な取組が欠かせません。新たな長野県子ども・若者支援総合計画、長野県教育振興基本計画との連携はどのように図っていくお考えなのか、健康福祉部長に伺います。       〔教育長内堀繁利君登壇〕 ◎教育長(内堀繁利 君) 8点御質問を頂戴いたしました。順次お答えを申し上げます。  まず、教員不足の実態に係る現状の認識についてのお尋ねでございます。  昨年度の状況につきましては議員御指摘のとおりでございますが、本年度県独自で実施した教員不足の実態調査では、始業日時点で小学校8名、中学校1名、特別支援学校8名の欠員となっております。また、10月1日時点での年度途中の欠員の状況につきましては、昨年度は小学校10名、中学校6名、義務教育学校1名、特別支援学校8名、今年度は小学校12名、中学校1名、特別支援学校13名となっております。本県においても教員不足は大きな課題であり、特に年度途中の療養休暇取得者や休職者等の代替者の確保が難しい状況にあると認識しているところでございます。  次に、心身の不調等の影響により休職した教員の現状と近年の推移についてでございます。  県教育委員会の調査では、令和3年度の公立学校教職員の心身の不調による休職者数は114名で、全教職員に占める割合は0.61%となっております。主な疾病・異常別の内訳は、精神系が71名と最も多く、次いで悪性新生物21名、筋骨格系6名、循環器系6名となっております。また、休職者の過去の推移を見ると、5年前の平成29年度は136名で、以降4年連続で減少している状態であります。  代替教員確保や登録者数を増やすための対応策についてのお尋ねでございます。  県教育委員会では、小中特別支援学校の講師候補者名簿への登録者を増やすため、これまで教員採用選考受験者に対して登録を促すチラシを配付するとともに、採用試験で不合格となった受験者に対して個別に登録の依頼を行うなどしてまいりました。  今年度は、これらに加え、各教育事務所に学校支援主幹指導主事を配置し、教員免許が休眠状態にある方を含む潜在的な講師の掘り起こしを行い任用につなげるとともに、年度途中の代替教員確保のための仕組みについて研究するなど、引き続き臨時的任用教員の確保に努めてまいります。  本来やるべき仕事を自律的に精選できる働き方の環境づくりについてでございます。  県教育委員会では、令和3年2月に学校における働き方改革推進のための方策を策定し、学校業務の分業化や外部化などを進め、本来やるべき仕事に専念できる体制の整備、ゆとりづくりに努めております。  各学校では、この方策に基づき、これまでの自校の取組の成果や課題を振り返りながら、学校として何を大切にし、何を変えていくのかを話し合い、教員一人一人の主体的な実践につなげております。  例えば、ある中学校では、多様な生徒の確かな学力を保障することに重きを置くため、朝の行事を廃止し、午後に裁量が可能な時間を設けることにより、各教員が生徒にとって必要と考える教科指導や生徒指導を柔軟に実施できるようにしたり、また、ある小学校では、より質の高い教育につなげるため、日課を工夫し、下校時刻を繰り上げ、教員が自ら計画的に事務処理や教材研究等をマネジメントできるようにしており、各校において、業務の見直しや時間外勤務時間の縮減に加え、教員が自律的に働くための環境づくりにも少しずつ取り組み始めていると認識しているところでございます。  今後は、教員一人一人が勤務時間や業務の優先順位を意識する中で、これまでの業務の進め方にとらわれず自律的に業務を進めている好事例を周知するなど、引き続き教員の働き方の質の向上に取り組んでまいります。  児童生徒のSOSに寄り添い孤立化を防ぐ取組についてでございます。  県教育委員会では、心理の専門家であるスクールカウンセラーを県内全ての公立小中学校に配置するとともに、全ての県立高校、特別支援学校に派遣し、教職員と一緒になって子供たち一人一人のSOSに寄り添い、親身になった支援ができるよう保護者と連携して対応しております。  また、子供たちの孤立化を防ぐ取組としては、子供たちが自分のつらい気持ちに気づき信頼できる人に相談する力や、友人のSOSのサインに気づくことができる力を育てるSOSの出し方に関する教育や、教職員が子供からのSOSを受け止める力を高めるための専門家による研修などを行っているところでございます。  不登校児童生徒に対する組織的支援体制の構築の現状等についてでございます。  現在、各学校において不登校児童生徒を「チーム学校」として支援するため、担任や管理職、養護教諭、教育相談コーディネーターはもとより、必要に応じてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門家も加えた支援会議を開催し、個々の児童生徒に応じた支援方針や支援内容を協議決定し、支援を行っております。  また、学校における組織的支援体制の構築、機能を高めるために、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの人数及び配置時間の拡充に努めるとともに、教員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、市町村関係者等を対象に、組織的な不登校支援が有効に働いた好事例や地域の実情に合わせた多様な支援方法を学ぶ研修会を県内各地で開催しているところであります。  引き続き不登校児童生徒に寄り添うとともに、子供に向き合う大人たちが同じ意識を共有することで、「チーム学校」としての組織的支援の質を高める取組を推進してまいりたいと考えております。  フリースクールとの相互連携に対する教育委員会の対応策についてでございます。  不登校児童生徒等に民間施設等の利用状況を調査したところ、令和3年度は県内73か所のフリースクールと民間施設を300名の児童生徒が利用しており、学校とフリースクールと民間施設との連携は一層重要になってきていると考えております。  このため、県教育委員会では、県民文化部と共催で不登校児童生徒等の学びの継続支援に関する懇談会を設置し、不登校児童生徒の学びのサポートガイド「はばたき」を作成し、全ての学校、市町村、民間支援者及び不登校児童生徒の保護者等に配付いたしました。この「はばたき」を活用し、学校とフリースクールとの連携が進んでいる取組事例を周知することにより、各地域での相互の連携が深まるよう支援しております。  また、市町村教育委員会を対象とした研修会を開催し、民間施設との情報共有や連携を進めている先進的な市町村の事例を紹介するなど、好事例が他の市町村にも波及するよう助言しているところでございます。  別室教室の現状とサポート体制についてでございます。  県内の各学校では、校内中間教室や相談室等の名称で校内における教室以外の児童生徒の居場所を確保しておりまして、令和4年度は、小学校では251校、全体の70.9%、中学校では180校、97.3%に設置されているところでございます。  例えば、ある中学校では、校内サポートルームを設置し、生徒自身が自分のペースで学習に取り組む、オンラインで授業に参加する、自分の好きな活動をする等自らの過ごし方をデザインし、サポートルームの担当教員は伴走者としてそのサポートを行っております。  県教育委員会といたしましては、別室教室を利用している一人一人の実情に応じた多様な学びを支援していくことが大事であると考えておりまして、今後も市町村教育委員会と連携しながらそのための環境整備に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君) 私にはフリースクールに対する支援の充実と強化について御質問をいただきました。  不登校の子供たちに対しては、一人一人の適性に応じた居場所や安心して学べる場の確保が必要であると考えております。その一つであるフリースクールの学びの充実に関しましては、昨年度から、県教育委員会と連携して、学びの多様性、専門性を確保するために外部講師等を招聘する場合の経費などを助成するモデル事業に取り組んできております。  本事業については、外部講師の授業により子供の興味が広がり、波及して理科や英語などの教科学習の充実につながった。地域の方に講師を依頼することで地域とのつながりができ様々な協力が得られるようになったといったお声もあり、一定の成果が出ていると考えております。  しかしながら、不登校児童生徒が利用するフリースクールの多くは職員体制や財政基盤が脆弱であり、その運営は不安定であることから、これまでのモデル事業の成果を踏まえつつ、さらなる学びの場の確保、学びの充実に向けた支援の強化を図る必要があると認識しております。今後、有識者やフリースクールを運営する当事者など関係する方々の御意見を伺いながら、さらなる支援に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君) 私には子供の自殺対策について御質問を頂戴しております。  まず、「子どもの自殺ゼロ」を目指す戦略の総括でございます。  この戦略では、自殺リスクを抱えた未成年者への危機介入、自殺リスクが高まる前の予防策、子供を守る地域づくりを3本柱として対策を講じてまいりました。具体的には、教員や児童委員等子供の支援者を対象に含めたゲートキーパー研修や子供たちへのSOSの出し方に関する教育の実施、子どもの自殺危機対応チームによる自殺のリスクが高い子供への対応などを行ってきたところでございます。これらの取組によりまして、ゲートキーパー研修の年間受講者は、平成28年度の5,219人から令和3年度には1万7,521人と増加し、地域において子供を守る意識が高まってきていると考えております。  また、子どもの自殺危機対応チームにつきましては、国の新たな自殺総合対策大綱において、ハイリスクの子供に対する危機介入のための支援の枠組みとして全国での導入が位置づけられるなど、この戦略については国などからも評価されているものと考えております。  しかしながら、令和3年の20歳未満の自殺死亡率は人口10万人当たり4.80と、いまだに全国平均3.74より高い状況でございます。今後は、これまでの取組を着実に実施することに加えて、SOSの出し方に関する教育の全学校への普及や子どもの自殺危機対応チームにつながりやすい環境づくりなど、さらなる取組の充実を図ってまいります。  次に、子供を取り巻く背景の変化と各計画との連携についての御質問でございます。  コロナ禍をはじめとする近年の状況は、社会や経済に大きな影響を与えており、生活困窮による貧困の連鎖、人とのつながりの希薄化など、子供を取り巻く社会的な背景や環境は大きく変化してきております。  例えば、学校生活においては、休校等による生活リズムの乱れや居場所の不安定さ、マスクによって表情が見えにくいことによるコミュニケーションの困難さ、さらに、SNSやインターネットへの依存などが成長過程にある子供たちに様々な影響を与えているものと思われます。  こうした中で、議員御指摘のとおり、子供の生きる支援にはこれまで以上に部局横断的な取組が必要であると認識しております。こうした背景も踏まえて、各部局の連携の下に、長野県子ども・若者支援総合計画や長野県教育振興基本計画が策定される予定となっております。  なお、「子どもの自殺ゼロ」を目指す戦略につきましては、現在策定中の第4次長野県自殺対策推進計画に包含し、引き続き庁内の部局が広く参画する子どもの自殺対策プロジェクトチームやいのち支える自殺対策戦略会議等の場におきまして、自殺対策の取組などについて共有し、生きる支援という観点からの全庁的な取組を両計画と連携して進めてまいります。  以上でございます。
          〔15番小山仁志君登壇〕 ◆15番(小山仁志 君) 子供たちの学びへのニーズ自体そのものが多様化する中で、通信制高等学校へ入学される方が年々急増してきています。一方で、小中学校では、多様化するニーズを体系的にサポートしていく、サポートを受ける仕組みがまだまだ脆弱な状況があります。多様化する様々な困難に直面する子供が挑戦していくことができる学びの保障、学びの場の確保、選択肢への体制づくりは急務であると考えます。  一方で、学校自身のほうですが、先ほど教育長から答弁がありましたとおり、心身の不調による学校の先生方の休職は近年減少傾向にあるということであります。しかしながら、精神面の不調の方は大変多いということでございまして、教員不足に端を発した学校の負の連鎖というものが広がっていかないよう、大変深刻な事態として受け止めていくべきだと考えます。  児童生徒の学校における今を幸せにしていくウエルビーイングを創出していく力への再構築が改めて必要とされていると感じます。子供の最善の利益にしっかりと寄り添っていける教育委員会、県当局の一層の取組をお願いさせていただきまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(髙島陽子 君) この際、15分間休憩いたします。         午後2時26分休憩          ──────────────────         午後2時42分開議 ○議長(丸山栄一 君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  百瀬智之議員。       〔13番百瀬智之君登壇〕 ◆13番(百瀬智之 君) 今回は、前回に続き、里山のにぎわい創出についてお尋ねします。前回の一般質問では、信州デスティネーションキャンペーンのデータ分析を基に、長野県への来訪者が来県前に既に他県への訪問を検討している確率が高いというようなことを述べました。そこで、今回は、そのような遠心力を求心力へと変える政策とは何なのかという点について論じてみたいと思います。  さきの一般質問では、今年の善光寺の御開帳の効果についてもお尋ねしました。周辺への波及効果があった旨観光部から御答弁いただきましたが、私の問題意識としては、やはりそこにとどまっていてはならない、観光部のみならず全部局を挙げて取り組んでいただきたい政策があるということであります。  思えば、善光寺は、日本仏教のルーツそのものであって、いにしえより日本全国から人を集めてきました。釈迦に説法ですが、江戸方面からは、中山道追分から善光寺に向かう街道が始まり、小諸や海野宿、上田の城下町を通過し、千曲川や犀川の大河を渡り、善光寺に至る道筋。また、京方面からは、同じく中山道洗馬宿から街道に入り、松本の城下町を通過して、里山や幾つかの峠道を渡り歩いて東ルートに合流する道筋。中山道自体が善光寺参りと共に発展してきたと言われますから、元善光寺や伊那街道と合わせれば、まさに善光寺街道と共にこの地域は発展してきたと言っても過言ではありません。  しかし、近代に入って、日本は、東京、名古屋、京都、大阪など大都市に向けた高速交通網を中心に整備し、旧街道は半ばそっちのけの状態となってしまいました。街道沿いの地域は活力を失い、人々は都会に流出し、特に郡部の疲弊には大きな課題があると感じます。  そして、最も深刻だと思うのは、それらとともに長野県民のアイデンティティーが薄れ、地域としての一体感が曖昧になってしまったのではないかということです。すなわち、私たち松本の人間にとっては、昔は一時筑摩県だったこともあり、長野市とは昔から仲が悪いとか、あるいは、南信は、南のほうに行けばむしろ名古屋圏域と文化が近くて、長野市と県を一緒にしている現代的意味がほぼないというようなことが言われます。それらは一理あって、合理性や効率だけを求めるなら現在の長野県の姿でなくてもいいと思いますが、しかし、そうではないと考えるならば、長野県を長野県たらしめている価値として、そういった過去の歴史や文化を正面から問う政策が必要ではないでしょうか。  サステーナビリティーや日本の精神性、価値観を掲げてそれを今から取り戻していくのは、時代遅れどころか、むしろ時宜にかなった政策、未来につながるテーマだと思います。  近年では、日本にも参考にすべき事例は出てきていますが、例えば、少し気分を変えてみて、スペインは西海岸サンティアゴ・デ・コンポステーラ、こちらは押しも押されぬキリスト教三大巡礼地の一つであります。1,000年以上の歴史を持ち、今も数万人がフランスから歩いてこの地を目指すという道は、数々の難所を抱えながらも、巡礼路としての姿をほぼ変えず、21世紀になってむしろ巡礼者が増えているようです。  巡礼といっても、信仰目的のほか、新たな旅の形として、あるいは地元民の単なる楽しみとして、あるいは自分への挑戦としてという具合に、その在り方は三者三様。巡礼路は、農場の横や林の間などを歩く土の道があったり、小さい丘や山を越える際のアップダウンのある道があったりします。  また、様々な町や村の中を歩いて伝統的な家屋や農機具、中世さながらの風景などを目にして、飽きることがないようある意味ではつくり込まれていて、巡礼歩きをするに当たっては、巡礼手帳がもらえ、地元のホテル名やカフェの店名、町の名前などを巡礼とともにスタンプで押していくことになります。  巡礼歩きの途上では、そういう場所に立ち寄って地元の食材を味わってみたり、公営の宿泊所で泊まってみたり、地元の人たちとの会話を楽しんだり。つまり、巡礼者の側からすると、様々なコンテンツを自由気ままに楽しみながら達成感が得られる行程となっているのですが、これを提供する側から見ると、中世から残っているものをそのまま提供しているのではなくて、道路や宿泊所の整備などファンダメンタルな部分はしっかり整え、意図的に農場や里山などを歩いてもらう仕掛けを用意する。そして、散在する飲食店や文化財を巡礼スポットや手帳という形で結びつけ、それは、信仰や観光という要素を表では取りながら、人と人とがうまく出くわす場づくりやお金が循環する地域振興策を広域的なアイデンティティーを中核として回していることになります。  そうして振り返ってみたときに、先ほどの善光寺、かつては善光寺街道沿いに幾つものにぎわいがあって正真正銘の日本に誇る聖地巡礼文化がこの長野県にはあったわけですから、善光寺街道を長期的に再生し、善光寺へつながる聖地巡礼事業として歩いて楽しめる里山づくりを始めるべきではないでしょうか。  そこでお尋ねすることは、まず、善光寺街道を歩いていると、自動車の往来が激しいところから山道まで、県道から市町村道と様々あります。善光寺街道であることを示す看板の様式などは市町村独自のものが見受けられますが、県として統一的なブランディングを行うべきではないでしょうか。  例えば、自転車レーンについては、県では青いレーンをつくり、片や松本市では赤いレーンをつくりということになっていては統一的なブランディングに失敗しているわけですが、歩道や案内看板も同様ではないでしょうか。お尋ねします。  また、比較的交通量の少ない場所での石畳の設置や歩道整備、案内板の設置などについての課題はどこにあるのか伺った上で、県として宿場の再生についてはどのような取組を手がけてきたのか。特に、規模の小さな宿場の再生事例にはどのようなものがあるか。以上、建設部長の見解を求めます。  また、知事におかれましては、本日も度々答弁されていますが、各地で県民対話集会を実施されています。それが一通り終わった暁には、県民の声を受けて県がどのような大局的なアイデアを提示してくれるのか、期待しております。  ここでは、差し当たり、これまでどのような対話がなされてきたのか。特に、郡部から上がっている声として大事だと思われることにはどのようなものがあるのか。お伺いします。  そして、善光寺街道の再興に関しては、県としてロードマップを作成し、例えば、有機野菜を活用した飲食店の配置や伝統工芸品の振興、信州やまほいくの展開な、里山が持っている魅力あるコンテンツを徐々に旧道沿いに集約していってはいかがでしょうか。  そして、そうした中での聖地巡礼事業、次回以降の御開帳には、直接新幹線で長野駅に降り立つ人もいれば、佐久平や上田で新幹線を降りて、あるいは、あずさを松本駅で降りて、歩いて街道を巡りながら善光寺に向かう巡礼者が出てきたり、いつの日かリニアで飯田に降り立って長野県を縦断する人たちが増えてくればいい地域づくりにつながると考えますが、いかがか。善光寺街道の再興と、それに伴う聖地巡礼事業を率直にどう感じていらっしゃるか知事の所見を求め、一切の質問といたします。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君) 私には3点御質問をいただきました。  まず、善光寺街道の統一的なブランディングについてのお尋ねでございます。  県内には、五街道である中山道をはじめ多くの旧街道があり、地域の合意形成の下、市町村と住民が一体となって自然や景観、歴史文化を生かした街道整備が行われている事例があります。  例えば、木曽地域の中山道沿いにおけるデザインを統一した案内板の設置、また、小諸市、上田市など北国街道における街道沿いの歴史的な建物の外観整備や道路の石畳舗装など、国の補助事業を活用しながら地域の魅力を向上させた取組もございます。議員御指摘の善光寺街道におきましても、市町村をはじめ地域の機運醸成が図られれば、地域資源を活用し、広域で連携した魅力ある街道づくりを支援してまいりたいと考えております。  次に、街道整備の課題に関するお尋ねでございます。  街道における石畳の設置や歩道整備、案内板の設置に当たっては、まずは街道がどこを通っていたのか当時の街道の考証を行ったり、それを踏まえてどのように整備をするのかを地域の共通認識の下合意形成することが課題と認識しております。  また、具体的な整備の段階でも、例えば、石畳の設置については、整備主体や費用負担、利用者の安全性やバリアフリー基準を満足する構造、維持管理の方法などを関係者間で調整の上決定していくことが課題であると認識しております。  最後に、宿場の再生に対する取組の現状についてのお尋ねでございます。  善光寺街道沿いにおいては、善光寺、稲荷山宿、松本宿周辺、また、木曽町の福島宿や宮ノ越宿などの比較的小規模な宿場においても、歴史的な建物の外観整備や道路の石畳舗装、電線類地中化など、国の補助事業を活用しながら街並みの魅力を向上させる取組を実施し、新たな人の流れが生まれております。  また、最近では、奈良井宿において、UDC信州や民間の取組を活用し、街の象徴的な存在であった旧酒蔵を再生するとともに、宿泊施設や飲食店にリノベーションするなど、歴史を積み重ねた古民家に価値を見いだした人々が集い、活用を進める新たな取組も行われています。こうした宿場の再生などのまちづくりにおいては、市町村の意向を踏まえ、県としても取組を支援しているところでございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私には2点御質問をいただきました。  まず、県民対話集会について、どのような対話がなされているのか。また、特に郡部からどういう声が上がって重要だと受け止めているのかという御質問であります。  これまで15市町村で実施してまいりました。農業や観光の振興、地域交通の維持発展、移住の促進、子育て支援、各市町村にその地域に合ったテーマを設定していただいて意見交換をさせていただいていますが、それ以外の事項についても時間があれば意思疎通をさせていただいております。  また、私は、いつも、私は御提案を受ける側、皆さんは言う側という一方通行の関係はやめましょうというお願いをしていますので、できるだけ双方向の対話になるようにということで取り組ませていただいています。  様々な重要な問題提起をいただいてきておりますが、特に各市町村に共通しているテーマとして私が重要だと感じているのは、やはり地域交通の話で、かなり多くのところから出てきます。また、教育、特にフリースクールをはじめとする多様な学びの場が必要ではないかということ、また、中山間地等で教員配置の在り方をもっと充実するべきではないかというような御意見もいただいています。  また、町村部で私が感じているのは、スキー場を抱えている地域では、施設の老朽化や、集客能力が落ちている中で、スキー場の問題だけでなく地域一帯としてどうするかということを考える必要があるという問題提起や、熊谷議員からも空き家の問題提起がありましたが、移住をしたいという人がいてもなかなか住める場所がないという空き家の問題、あるいは住宅、住まいの確保の問題、こうした点はかなり共通の課題として提起していただいているというふうに承っております。  県としてもこれらの問題にしっかり向き合っていかなければいけないというふうに思っております。その都度関係部局とは状況や問題意識を共有させていただいていますが、御指摘があったように、こうしたものを聞きっ放しにするのではなく、今後県としてどうしていくかということについてもう少し全体的な意見交換が進んだ段階で整理をし、取り組んでいきたいというふうに思います。  続きまして、善光寺街道の再興の関係で、里山のにぎわいを取り戻す地域づくりに取り組むべきと考えるがいかがかという御質問であります。  この県民対話集会でも、特に県庁から遠い地域の皆さんとお話しすると、長野県としての一体性とか地域のアイデンティティーとは何なのかということが、直接的ではないにしても問題意識としてかなり出てきております。  長野県は、観光等で自然の豊かさということを言っていますが、実は自然の豊かさは北海道でも沖縄でもあるわけでありまして、恐らく海外の皆様方が観光でアピールしているのは、そうしたことに加えて、人間の営みです。歴史や文化に培われた人間の営みというものをもっとアピールしていくことが必要ではないかと思いますし、まさにそうしたところにこそ北海道や沖縄の文化とは違った意味での長野県の強み、特性があるというふうに思っております。  そういう観点で、百瀬議員に御提案いただいた里山の観点は、私も非常に重要な観点だというふうに思います。これまでも、例えば街道筋を生かした地域づくりやこの善光寺街道に関連して、元気づくり支援金や地域振興推進費の活用等で支援させてきていただいている経過もございます。  改めて市町村の皆様方の感覚、問題意識というものも承らせていただいた上で、これまで取り組んできたことをさらに発展していくことが可能なのか、可能であればどういう方向性で取り組むことができるのかということについて地域振興局も含めて検討していきたいというふうに考えております。  以上です。 ○議長(丸山栄一 君) 次に、共田武史議員。       〔21番共田武史君登壇〕 ◆21番(共田武史 君) 自民党県議団、共田武史です。今回は、コロナ禍で大打撃を受けた航空機産業、航空業界について、また、航空機のライバルであるリニア新幹線、そういった観点を、様々な視点から可能性、課題について質問させていただきます。  航空機の歴史を振り返ると、日本は敗戦と同時に航空機の製造どころか研究や運航まで禁じられ、占領の7年間で航空機各社は全て解体されました。その後、アメリカの航空機の部品を製造したりライセンス制で製造をしておりましたが、近年、国産旅客機やプライベートジェット機などの開発が再開し、三菱重工、本田技研工業、川崎重工のジェット機の量産などが進められ、新たな展開を迎えています。  一方、コロナ禍で航空機業界は大打撃を受け、航空機の生産や開発も停滞しました。最近では、国内の旅行客も回復し、観光する外国人も増え、航空機の利用者はコロナ禍前に戻りつつあります。それに伴い、航空機の需要も戻りつつあります。  県民が成田や羽田、中部国際空港の飛行機を利用する際、空港までの道筋は鉄道を利用することが一般的ですが、鉄道の乗換えは不便だと感じます。特に、帰りの疲れた状態で乗換えと長時間の電車は、心身共につらく感じます。  こうした中、先日、松本―成田便就航の報道がありました。成田空港まで松本空港から鉄道並みの運賃で移動できるなら、需要があるのは当然です。  そこで思い出したのが、リニアのルート決定の際、東京―名古屋間の時間短縮を重要視していたことです。理由は、将来リニアのライバルが航空機になるとのことでした。実際に、松本―成田便は、特急あずさと同等の運賃であれば、快適性や速さは飛行機に分があると感じます。本当に鉄道と旅客機がライバルになる時代になりそうです。  リニア中央新幹線乗換駅と飯田線について質問します。  リニアは、当時ABCルートが示され、長野県も諏訪が通るBルートを要望しており、一番有力視されていました。しかし、2011年に突然リニアのルートは諏訪地域から飯田に変更になりました。私も青年会議所時代誘致活動をしておりまして、当然諏訪地域に駅ができると信じていたので落胆したことを覚えています。東京―名古屋間で7分短縮され、工事費も維持費も少ないとされることが理由でした。たかだか7分でと思いましたが、先ほど申したとおり、リニアのライバルは航空機で、時間短縮は重要だったようです。  もともとリニアは、東京―大阪間を結ぶためのものではなく、国内の人口密集地を結ぶとの考えであったようで、諏訪地域が合併できず20万人都市になれなかったことも理由の一つと国会議員より聞いております。  後に、飯田市が誘致活動を活発に行っていたことを知り、もっと私たちも誘致活動をするべきだったと反省もしました。飯田市は誘致合戦で諏訪地域に勝ったとも言えます。  当然、飯田に駅ができても、諏訪地域からの利便性も考慮して進んでいくものと思っておりましたが、突然飯田の乗換新駅がなくなりました。個人的には、長野県全体でBルートを要望している中、飯田が、誘致しておいて乗換新駅を諏訪地域に相談もなく計画をなくしてしまったことは、大変残念に思います。  松本地域から東京に向かってリニアを使うには甲府の駅を利用すると思いますが、大阪方面に向かう際は飯田の駅を利用することも予想されます。リニアは国家プロジェクトであり、地域だけではなく長野県全体の話として捉えなくてはなりません。そこで、長野県は、リニア中央新幹線乗換新駅の必要性について、中南信地域へのリニア整備の波及効果を考える上でどのように考えているのか、阿部知事に伺います。  大糸線の赤字など、最近地方の鉄道の赤字が話題になっています。この状況では、地方に新しい鉄道をしく、または既存の路線の高速化はかなり望めない状況にあります。しかし、リニアに関連している今なら可能性が少しあるとも思います。今後、人口減少が進む中、将来的に飯田線も赤字になる可能性があり、将来乗換新駅は飯田線の救世主になる可能性もあると思います。そこで、最近の大糸線の赤字が話題になる状況を考えると、飯田線の今後の存続を考えた場合、高速化や利便性の向上を図る必要があると考えますが、いかがでしょうか。清水企画振興部長に伺います。  航空機産業については、3点、林産業労働部長に伺います。  日本の航空宇宙産業の推進は、今後、航空機の需要が大幅に増えることを見込んでいます。ジャンボジェットなど大型の旅客機から小型のリージョナルジェットに代わり、地方の空港から国内外問わず飛行機が飛び交うことを想定しています。  飛行機も性能が向上し、低燃費化、低騒音化され、より快適により遠くまで飛ぶことができ、様々な課題が解決されます。自動チェックインからオンラインチェックインへと搭乗もさらにスピーディーになっています。  航空宇宙産業の今後の見通しは、アフターコロナでは需要の回復が見込まれていること、世界の民間航空機市場では2040年までに約3万3,000機の新造機の需要が見込まれていること、機体構造、エンジン、装備品で参画可能な事業領域が残されている伸び代があること、自動車等の他産業分野で培った技術、ノウハウ、ものづくり、中小企業の潜在力をさらに活用できることなどから発展可能性が大きいと考えられています。また、航空宇宙産業は、自動車産業と比較して部品点数が多く、技術波及効果が高いことが特徴として挙げられています。  歴史を振り返ると、国策としてシルク産業は発展し、次いで自動車産業も進められてきました。国策として産業を育て、日本の産業全体を引っ張ってきた歴史があります。近年、産業は民間が主体的に進めるものとの考えが国内に広がっている中、世界各国が産業を国策として進め、日本は後れを取ってしまったとも感じます。  航空宇宙産業は国策として進められている産業であり、何としても成功させなければなりません。現在、航空宇宙産業を国際戦略総合特区、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区として指定し、進めております。愛知県だけではなく、静岡県と長野県に広がっています。  そんな中、2020年、三菱重工業の国産小型旅客機「スペースジェット」開発の凍結は非常に残念ですが、コロナ禍で航空需要が変わり、また可能性があるとの見方もあります。そこで、新型コロナ収束後は航空旅客需要が回復し、再び成長すると予想されていますが、今後の世界の航空機需要をどのように捉え、その需要を取り込むために必要な取組をどのように考えているでしょうか。  先日、産業観光企業委員会の視察で三菱重工業に行きました。主翼を生産しており、航空機の製造は、コロナ禍で最高期の2割弱まで生産が落ち込み、現在は1日に4機分生産しコロナ前に戻りつつあるとのことでした。そこで、コロナ禍でとどまってしまった日本の航空機産業の発展をどう評価しているでしょうか。また、今後長野県産業はどのように航空機産業の発展に寄与していくのでしょうか。  三菱重工業の説明でも、部品点数が多く、部品をできるだけ国内から調達することを目指し、参入を希望する企業に社内教育のサポートを実施し、窓口を開いておりました。県内企業にも様々なチャンスがあると感じます。長野県の産業集積地に航空機産業のサプライチェーンを構築し中小零細企業まで広げるために必要なものは何と考えているでしょうか。また、こうしたサプライチェーンの構築のため、県としてどのような取組を行っていくのでしょうか。  松本空港の今後について3点清水企画振興部長に質問します。  松本空港の利便性の高さはまだ県民に十分に理解されていないと感じます。今年の4月に松本空港を利用し、北海道に行ってきました。自動車で私の家を出て、3時間後には北海道でレンタカーに乗っておりました。空港前の駐車場に止められることで、非常に便利です。一方で、利用者が増えた場合、駐車場が足りるのか、空港のキャパシティーはどうなのかとの疑問も出てきました。  まず、コロナ禍で信州まつもと空港の発展・国際化に向けた取組方針に影響が出ていると思いますが、現状と今後の取組について伺います。  リニアの駅が飯田に決まって、北信、東信には北陸新幹線、南部にはリニア新幹線の高速鉄道が通り、諏訪地域は陸の孤島になっていくとの声がたくさん上がりました。そんな諏訪地域には、航空機の進化や業界の変化により、松本空港の活用で新しい可能性が見えてきたと感じます。松本市、塩尻市は空港の利活用に力を入れておりますが、諏訪地域の市町村は、まだ取組もほとんど行っていない状況です。そこで、新幹線とリニアの恩恵を受けにくい松本、塩尻、木曽、諏訪には松本空港の利活用の一体的な取組が必要と考えますが、県の考えを伺います。  今後、航空機の性能が上がり、低騒音化や滑走路の問題なども解決し、地元の理解も深まりやすくなる状況が予想できます。利便性が高まり、利用者が増えてくれば、施設の駐車場や待合室などキャパシティーもオーバーすることが予想されます。将来、国内線、国際線共に利用者の拡大が期待されます。それに向けた空港施設のキャパシティーの確保について伺います。  松本空港へは、車で松本駅から23分、岡谷駅から32分と10分足らずの違いです。今後は、諏訪湖スマートインターチェンジや国道20号バイパスなど松本空港までのアクセスが整備され、利便性も向上していくと思います。  一方で、塩尻北インターチェンジから松本空港までは道路が複雑で分かりにくいと感じます。今後の松本空港の可能性を考える際、塩尻北インターチェンジからの道路の再整備ができればさらに利便性は向上していきます。松本空港を中心とした道路ネットワークの構築や、直接高速道路を松本空港駐車場に接続するなど大胆な考え方も必要だと思います。諏訪地域から松本空港を使う際、塩尻北インターチェンジから空港までのアクセス整備が必要だと考えますが、今の複雑なルートをどう評価し、今後どのようにしていく考えなのか、田中建設部長に伺います。  航空業界の変化への対応についてです。  航空業界の変化により、より多くの県民が飛行機を使って国内外へ観光旅行に行ったり、国内外から飛行機を利用して訪れる観光客の増加が予想されますが、次の点について伺います。  今後、県内の観光業界に与える影響をどのように捉え、対応していくのか、渡辺観光部長に伺います。  また、県民が松本空港発着の飛行機を利用して観光を楽しむためにどのような取組を考えているのか、清水企画振興部長に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 私にはリニア中央新幹線の乗換新駅について御質問をいただきました。  リニア中央新幹線の長野県駅(仮称)と飯田線との接続方法については、駅周辺整備を進めている飯田市が主体となって検討して、伊那谷自治体会議で我々県や伊那谷の市町村と共有してきたところであります。  昨年2月の会議で、飯田市長から、乗換新駅というハード整備ではなく、今後の時代の変化や技術進歩を踏まえ、新しい交通システムを考慮した接続方法を検討していくとの提案があり、私を含め参加した市町村長は理解し、受け止め、今後も飯田市の検討状況を継続的に共有していくという形にしております。  諏訪との関係はどうなるのだというお考えだと思いますが、このリニア中央新幹線の整備は、中南信地域全体に広く影響、効果が及ぶようにしていくというのが我々県としての考え方であります。  この飯田にできる長野県駅だけではなく、岐阜県、山梨県の3駅の活用を視野に入れて交通網の整備や観光等での人流を大きくしていくということを考えていきたいと思っています。  まず、飯田の長野県駅については、座光寺にスマートインターを設置して中央道とのアクセスの利便性を上げていこうということで取り組んでいます。また、諏訪地域の皆様方にとっては、諏訪湖にスマートインターチェンジをつくって、これによって中央道を通じたアクセスをしやすくしていきたいというふうに思っております。  また、岐阜県駅は、木曽地域や中央線沿線にとっては利用可能な駅になってくるというふうに考えております。岐阜県側との協力連携をしっかり進めると同時に、木曽川右岸道路の整備など本県から岐阜県駅へのアクセスの向上にも努めているところであります。引き続き山梨、岐阜両県ともしっかり連携しながら、長野県としては、飯田にできる長野県駅、そして山梨県駅、岐阜県駅の3駅を、長野県、特に中南信地域のさらなる発展に有効に活用できるように様々な取組を進めていきたいというふうに考えております。
     以上です。       〔企画振興部長清水裕之君登壇〕 ◎企画振興部長(清水裕之 君) 私には飯田線と松本空港の関係で大きく2点お尋ねをいただきました。  まず、飯田線の高速化、利便性の向上についてお答えいたします。  飯田線は、通勤や通学など地域にとって重要な路線であるとともに、長野県、静岡県、愛知県を南北へと広範囲につなぐ全国的な鉄道ネットワークの一端も担っております。また、リニア中央新幹線の開業後には利用者が増加されることも期待される中、さらなる利便性の向上が必要と認識しております。  このため、沿線自治体などとともに県も参画しておりますJR飯田線活性化期成同盟会を通じて、JR東海に対し、飯田線の高速化や利用者の意見を踏まえたダイヤ改善、車両の増車などについて要望を実施してきております。今後とも、沿線の自治体や経済団体と一体となって、飯田線の利便性が一層向上するようJR東海に求めてまいります。  続いて、大きな2点目、松本空港に関して順次お答えいたします。  まず、取組方針の現状と今後の取組についてであります。  国内線の拡充につきましては、札幌丘珠線や神戸線の新規就航などにより、4路線1日6往復などの目標をおおむね達成しております。さらに、昨年度からは、双方向による沖縄とのチャーター便が運航されております。  一方、空港の国際化については、コロナ禍の影響に伴う出入国制限により国際チャーター便の運航が中断するなど十分な成果が上げられていない現状です。しかしながら、先般より水際対策の大幅な緩和が行われたことから、国内外の航空会社や旅行会社へのエアポートセールスや海外の航空業界に知見を有する実務経験者のネットワークの活用により、国際チャーター便の就航再開に向けて鋭意取り組んでいるところです。  また、にぎわいの拠点づくりに向けては、これまでコロナ禍のために控えていた就航先である北海道、九州などの特産品を取りそろえた物産展など各種イベントの開催などを実施していく予定です。こうした取組により、取組方針に位置づけた目標達成を引き続き目指すとともに、空港の脱炭素化など新たな課題にも的確に対応してまいります。  次に、空港周辺地域における利活用の一体的取組についてであります。  松本空港の全県的な利活用促進に向けては、県、全市町村、経済団体などが参画する信州まつもと空港利用促進協議会において取組を進めております。当協議会が中心となり、松本、諏訪など空港周辺地域の市町村や観光協会とも連携し、就航先での広告宣伝、就航先の旅行会社を招いた諏訪大社や松本城など観光地へのファムトリップなどを実施しております。  さらに、松本、北アルプス、木曽の各広域連合に加入する市町村等により構成される信州まつもと空港地元利用促進協議会が地元の方々の利用促進と観光誘客による空港の発展に寄与していただいているところです。  空港の利活用拡大に向けては、特に空港周辺地域の住民や企業による利用促進、観光誘客が重要でありますことから、引き続き地元利用促進協議会をはじめとする地域の関係者と一体となって取組を展開してまいります。  続いて、空港施設のキャパシティー確保についてであります。  足元の空港利用者数を見ると、コロナ禍からの回復が顕著になりつつあり、国内線については、コロナ前の令和元年度1年間の利用者数を、本年度は11月末までの8か月間で既に上回ったところであります。さらに、国の水際対策の緩和に伴い、今後は、国際チャーター便の就航再開によるインバウンド客の入り込みなど、国際線利用者についても拡大が期待されます。  これまで、こうした将来的な利用拡大への対応を考慮して、令和元年に駐車場の増設を行ってまいりました。今後、コロナ禍により中断してきた国際線の入国審査用施設の整備に向けた手続の再開や駐車場の効率的な利用など、空港のキャパシティー充実に向けた検討を進めてまいります。  最後に、県民が松本空港を利用して観光を楽しむための取組についてお答えいたします。  松本空港においては、以前より観光旅行による利用者が多く、本年度行った調査においても、約7割の方が観光目的と回答しております。コロナ禍で自由に旅行に出かけられなかった反動や全国旅行支援の実施により、観光目的での利用が増加しているものと推察しております。  このように、観光需要が高まっている状況を踏まえ、県では、札幌、神戸など各就航先の観光地について県内のテレビやタウン誌などにより各種PRを行ってまいりました。さらに多くの県民の方々の利用を促進するため、旅行会社や航空会社と連携し、就航先に加え、国内外の乗り継ぎによる様々な観光地を巡る魅力的な旅行商品の造成支援や、SNSを活用した就航先の観光情報の積極的な発信など、松本空港発着の航空機を利用した観光の拡大に取り組んでまいります。  以上です。       〔産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業労働部長(林宏行 君) 航空機産業について3点御質問を頂戴しました。  初めに、世界の航空機需要と、その需要を取り込む取組についてのお尋ねでございます。  新型コロナの感染拡大により、2020年の世界の航空機旅客需要は僅か1年で前年の約3分の1までに激減したものの、現在は回復に転じており、日本航空機開発協会では、中期的にはコロナ発生前の水準を超えて拡大基調に至ると予測しております。  また、旅客需要を踏まえた航空機の生産予測では、2022年から2041年までの納入機数を3万5,000機余と見込んでおり、これは2021年の運航機数の約1.5倍の規模に当たります。  航空機産業への参入のタイミングは、機体、エンジン、装備品によっても異なりますが、大きく分けて、技術開発、試作開発、量産・増産の段階がございます。さらに、中小企業等が新規参入する場合、ティア1、ティア2等との関係構築が欠かせませんし、分野ごとに必要となる認証の取得、設備投資、人材獲得等の取組を相当程度進めておく必要がございます。県では、こうした予測や業界の特性等を踏まえ、県内企業が需要獲得のタイムラインに乗り遅れぬよう、技術開発や人材育成、販路開拓などの支援に努めてまいります。  続いて、日本の航空機産業の評価と、本県産業がどのように航空機産業の発展に寄与していくかとのお尋ねでございます。  日本の航空機産業は、海外企業との共同開発を通じて1980年代から大きく発展してきており、例えば、機体構造では日本企業の開発参加比率が35%、エンジンでは23%に及ぶものもあるなど、着実にその存在感を高めてきたところです。  いまだコロナ禍の影響を受けてはおりますが、最近では、国内自動車メーカーが設立した航空機事業会社による小型ビジネスジェット機の製造販売や住宅街も飛行可能となるレベル4のドローンの開発など、我が国航空機産業のさらなる発展が期待されているところです。  他方、欧米メーカーを中心に、ゼロエミッション航空機の実用化など航空機の電動化プロジェクトが推進されており、さらなる脱炭素化の促進により、電池、モーター等の電動化部品や水素関連部品等が中核となる可能性もございます。こうした分野においても、県内企業の強みである超精密加工や電子情報技術が十分生かせるものと思いますし、航空機産業全体の成長発展に寄与できるものと期待しております。  最後に、航空機産業のサプライチェーンへの中小零細企業の参入やサプライチェーン構築のための取組についてでございます。  本県では、平成26年6月にアジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区に参画し、平成28年には上伊那・諏訪地域に、令和元年には長野・上田地域に区域を順次拡大し、現在66企業に参画いただいております。  また、クラスター形成が促進されるよう、県としても平成28年5月に航空機産業振興ビジョンを策定し、工業技術総合センターによる技術開発支援やエス・バードに整備された国内唯一の環境試験機器による実証支援、同施設内に開設された信州大学の航空機システム共同研究講座などを産学官連携で進めております。  航空機産業では、数百万点に及ぶ構成部品や素材に対して厳しい技術的要求を満たすことが求められますが、他方、航空機産業で培った技術が広範多岐にわたる産業分野に応用されたり他産業で開発された先端技術が航空機技術に採用されるなど、中小企業のコア技術次第では参入のチャンスが十分あると考えております。  議員御指摘の中小企業の参入に向けては、息の長い開発支援や企業と企業をつなぐコーディネーターの役割が大変重要であると認識しており、JAXAや産総研など国レベルの支援機関や諏訪圏ものづくり推進機構等とも連携し、県内に航空機産業のサプライチェーンを構築できるよう取り組んでまいります。  以上でございます。       〔建設部長田中衛君登壇〕 ◎建設部長(田中衛 君) 塩尻北インターチェンジから松本空港までのアクセス道路の整備に関するお尋ねでございます。  塩尻北インターチェンジから松本空港へは、県道松本空港塩尻北インター線がアクセス道路となっています。当路線は、全線2車線改良済みとなっていますが、3キロメートル程度の区間であるものの、多くの交差点での右左折などにより、交通状況によっては時間がかかることもあると認識しています。松本空港周辺には、集客能力のある松本平広域公園等もございますので、交通状況を注視していく中で、課題を把握の上、必要に応じて検討をしてまいります。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君) 私には航空業界の変化が県内の観光業界に与える影響及び対応についてのお尋ねでございます。  航空機を利用した移動は、時間的、距離的にも短縮が見込まれ、観光においても、遠距離にある地域から新たな誘客につながるものと考えております。このことから、旅行者の居住地にはない食、アクティビティー、歴史文化などを生かした本県ならではのコンテンツの造成、何度も訪れていただけるようきめ細かな観光情報の提供、空港からの移動や周遊ができる二次交通、こういったものを充実する必要があるものと認識しております。  対応といたしましては、信州まつもと空港の定期便等の就航地や相互交流を進めている沖縄県などからの誘客を図るため、県内周遊や学習旅行などの旅行商品の造成支援、造成した商品等を活用した商談会や招聘ツアーの開催、トップセールスやキャラバン隊、SNS等による四季を意識した観光PRなどを実施しているところでございます。  今後、市町村、信州まつもと空港利用促進協議会とも連携を密にしながら、就航先からの旅行者のニーズをしっかり把握し、商品造成や、事業者、旅行者双方への情報提供に力を入れてまいります。  以上でございます。       〔21番共田武史君登壇〕 ◆21番(共田武史 君) 飯田の乗換新駅について知事から答弁をいただきました。なかなか納得できる答弁とは言い難い状況だと思います。確かに、飯田乗り入れ駅に技術的な問題があることは存じております。ただ、この歴史の中で、諏訪地域がどんな思いでこの飯田を見ているのか。また、今の答弁では、飯田を使わずに山梨や岐阜を使ってほしい、そんなふうに聞こえます。この状況で県民が理解しているようには現状思えません。そんなことをお伝えしておきます。  続きまして、航空機の可能性を取り込んだ施策形成について質問します。  今後、航空機産業が拡大し、県内の中小企業の活躍の場は広がります。航空機の低燃費化、低騒音化など、性能の向上により、環境問題、騒音の問題、滑走路の問題など様々な課題が解決する可能性があります。  アフターコロナの需要回復から、国内外からの観光客など空港利用者増が見込めます。県民が航空機を使った利便性の高い快適な旅行が楽しめるようになります。高速鉄道がなく陸の孤島となりつつある長野県の中央部の可能性が見えてきました。これらを考慮すると、空港のキャパシティーの確保やアクセス道路の整備などを検討していくことが必要だと思います。また、こうした可能性や課題を一体的に考えて取り組む必要があると思います。  航空機業界の変化は、県内企業の発展に寄与するほか、松本空港の利用者が増加すれば、高速交通網の一つとして、観光の振興はもちろん、国内、国外の人と人との交流の活性化にもつながるなど県内経済全体に大きな可能性をもたらすものであり、こうした可能性を大いに取り込んで長野県の発展の原動力としていくために、複合的な施策を検討するべきと考えますが、知事の所見を伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君) 航空機の可能性を取り込んだ複合的な施策を検討すべきだという御質問であります。  御質問にありましたように、航空機の性能もどんどん向上していく中で、空港を持っている県としては活用の在り方が非常に広がってくるというふうに思っております。また、産業面においては、この航空機性能の向上ということに対しても、長野県の製造業がどこまで貢献できるのかということをしっかり突き詰めていかなければいけないというふうに考えています。  まず、産業分野においては、信州大学と連携して航空機産業の高度人材を育成してきております。こうした取組は引き続き続けていきたいというふうに思います。また、本県の様々な製造業の技術を生かして、サプライチェーンの中にしっかり組み入れられるように取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。  引き続きJAXAや産総研をはじめとする関係機関としっかり連携しながら、県内企業がこの航空機産業分野にしっかり参入し、また成長発展することができるように県としても支援を行い、アジアの航空機システムの拠点形成を目指していきたいというふうに思っています。  また、松本空港については、これは大切な県民の財産だというふうに思っています。先日、松本空港において、松本空港をテーマに、地元松本JCの皆さんや子供たちと意見交換をさせていただきました。非常に松本空港に対する期待があると同時に、地域との連携や就航先の拡大など前向きな御提案をいただいたところであります。もとより、松本空港を発展させていく上では地域の皆様方の理解と協力が不可欠でありますので、引き続き地域の皆様方としっかり連携協力関係を構築させていただきたいと思います。  また、今、FDAには、ローカル・トゥ・ローカルを結ぼうということで一生懸命取り組んでいただいております。この一極集中を打破していくという観点では、航空機は非常に可能性がある乗り物だというふうに思いますので、地方分散ということも重ね合わせ、さらに産業面、観光面での交流も含めて国内のほかの地域との友好交流を強化していきたいというふうに思っております。  また、外国との関係もコロナで一旦お休みといったような状況になっていますけれども、改めてチャーター便の就航再開から始めて、順次定期便につながるような取組を進めていきたいというふうに考えています。  航空機の性能の向上に期待すると同時に、長野県としてもそうした取組にできるだけ貢献することによってこの松本空港の利用可能性も拡大しますし、その拡大した松本空港の利用可能性を観光面、産業面、そして地域の活性化の様々な観点で積極的に活用していきたいというふうに考えています。  以上です。       〔21番共田武史君登壇〕 ◆21番(共田武史 君) 今後、航空機の変化は県民の暮らしや県内産業に大きく影響してくると思います。変化を研究しながら総合的な政策を進めていただきたいと思います。  また、陸の孤島と言われる諏訪地域だけでなく、中部については高規格道路の計画もありますし、県内全体で松本空港は重要な空港となり得ます。また、高規格道路の予定がない木曽地域等でも空港までのアクセスについて研究する必要があると思います。  松本空港を中心とした道路ネットワークの構築など、北陸新幹線、リニア新幹線と同様に重要な公共交通として取り扱っていただくことを強く要望し、質問を終わります。 ○議長(丸山栄一 君) お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山栄一 君) 御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明8日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時38分延会...